探偵はライセンスが欲しい?ライセンス制度導入

「探偵には特権は無い、法的に守られることは一切無いと思え」

この言葉は、私が探偵になる前にとある先輩探偵から教わった言葉です。

探偵という職業はとても特殊です。そのせいか、探偵は特殊な法律による特権職業のように思われることもありますが、実際には、この日本ではなんと権限もなく、他の企業と同じように、なんら特権的な階級職ではありません。次第に法的な整備もすすみ、以前よりは法律に守られた存在となりつつある探偵業界ですが、実際に探偵として働く人々にとっては、まだまだ整備が進んでいないと思える部分が沢山あります。

 

しかし、そんな実情と裏腹に、探偵のニーズは静かな高まりを見せています。離婚率の増加や、格差問題、経済の不安定さなど、時代が冷たくなればなるほど、探偵への依頼者は次第に増えていくのです。

では、そんな時代の変化を受けている探偵業界に、もしも革新的な法整備が行われるとどうなるのか?今回は探偵業界が喉から手が欲しいと言われるライセンス制度問題についてご紹介いたします。

ライセンス制度とは?

ライセンス制度とは、いわゆる国家資格を指す言葉であり、ライセンス(許可書)を持つことで、職業的特権を得ることが出来る制度です。

探偵業が最も盛んと言われるアメリカでは、すでに古くから探偵のライセンス制度が施行されており、多くの探偵がライセンスを所持し、探偵としての手腕をふるっています。

ただ、世界中にこのライセンス制度が施行されている訳ではありません。アメリカを含む数か国の先進国のみにライセンス制度はありますが、探偵業の発達が遅れた国では、ライセンス制度はおろか、届け出制すら整っていない場所もあります。

 

日本の探偵はライセンス制度が無い?

世界的に見ても、日本の探偵は技術的なレベルは高いと考えられます。しかし、残念ながら日本にはいまだライセンス制度は導入されておらず、まだまだ探偵先進国とは言えない現状です。

ただ、日本の探偵達はライセンス制度を諦めてはいません。探偵業界の健全化のため、国家公安委員会による業務の届け出制度を作ったあと、平成18年には探偵業務に関わる法律を整備するなど、次第に法的な保護を受けつつあるのです。

しかし、探偵の歴史を見てみると、その足取りは様々な苦難ゆえの遠回りと言わざるを得ない状況であり、まだまだその道のりは険しいものと考えられます。

 

探偵業界はライセンス制度を求めている?

探偵業界にはじめてライセンス制度の動きが現れたのは、昭和30年代でした。

戦後の混乱期、日本では探偵の需要が高まり、様々な探偵達が活躍していました。彼らの多くは戦争のために行方不明になった人々を探すことを生業としており、中には元軍人や元スパイなど、様々な経歴を持つ探偵達がいました。

 

そうして探偵達が増えていく中で、しだいに探偵業の重要性や、乱立する探偵社の中には悪質な業者もあることから、探偵業を国家資格として、より専門的な職業分野へと推し進める運動があったのです。

しかし、その運動の中で探偵業界はライセンス制度導入に一部が難色を示し失敗。そのまま業界は分裂したまま今日にまで至っています。

 

ライセンス制度により得られるメリット

探偵業界が一丸となってライセンス制度導入を目指せば、今よりも早く制度の導入が望めるかもしれません。しかし、現実はそう簡単ではありません。ライセンス制度の導入のためには、政治家や各種有力者の協力が不可欠ですが、そう簡単に協力者を増やすことは出来ません。

しかし、ライセンス制度が実現すると、探偵にとっては大きなメリットを得ることが出来ます。

 

犯罪調査を積極的に行える

ライセンンス制度導入により、真っ先に行えるのが犯罪者に関する調査の効率化です。

現在でも探偵業界では犯罪調査を行っていますが、常に一から相手を調べなおさなければならず、効率はあまり良くありません。しかし、もしもライセンスが導入されれば、アメリカの探偵のように犯罪者データベースへのアクセス許可を得ることが出来、より効率敵に犯罪者を探し出すことが出来るでしょう。

また、犯罪目的で探偵社に以来する人々にも牽制を掛けることが出来ます。犯罪者データベースへアクセスできれば、依頼者に前科が無いかを調べることも可能でしょう。

 

より調査の範囲が広がる

ライセンス制度が導入されることにより、探偵に調査に関する法的な権限が与えられれば、現在よりもはるかに幅広い調査が可能になるでしょう。特に張り込みや尾行などに限らず、インターネット関連の調査にも権限が与えられれば、より広範囲の調査が可能になり、難しい案件もこなすことが可能になるかもしれません。

 

ライセンス制度導入は依頼者にもメリットが?

ライセンス制度は探偵のみならず、その依頼者にも大きなメリットをもたらします。

 

探偵業界がより健全化する

ライセンス制度導入の最大の目的は、探偵業界がより健全化し、社会的な地位を高めることにあります。

探偵業は以前よりも健全化したとはいえ、その中にはまだまだグレーゾーンを行き来するような探偵社が存在します。また、社会的な印象も良いとはいえず、依頼をためらう人も少なくありません。

こうした現状を打破するためには、ライセンス制度が最短ルートとなるでしょう。適正を問い、厳しい試験を乗り越えることで探偵になるシステムを整えれば、安易な気持ちで探偵業を行う人間が減り、業界はより健全化の方向に進みます。

 

調査技術の向上

ライセンス制度は、試験や条件をクリアすることで探偵になることが出来る制度です。

この制度が出来れば、結果的に探偵はより厳しい関門を潜らなければならず、探偵となれる人間たちの技術力や知識は今よりも向上することになるでしょう。

 

まとめ

ライセンス制度の導入まではまだまだ時間はかかりますが、もしも導入が決定すれば、探偵業界は今よりも遥かに有益なサービスを依頼者に届けることが出来るでしょう。

しかし、そのためには多くの難関を乗り越えなければなりません。これからも探偵は勉強を続けていかなくてはなりません。また、探偵業の実情についても知ってもらうことも大切かもしれません。