行方不明者は今では社会現象として広く認知されるまでになりました。
特に、現代では高齢者の行方不明が問題視されていますが、実つは他にも問題視すべきポイントがあります。
そこで、今回は次第に顕著になりつつある、行方不明問題の男女差について触れてみたいと思います。行方不明者の問題に興味があるかたは是非ご一読を。
行方不明者は男性が多い
行方不明者の数は、女性よりも男性が多くの割合を占めています。
警視庁生活安全局が作成した『平成25年中における行方不明者の状況』によれば、男性は全体の64.2%を占める結果となっており、女性は35.7%となっています。
【平成25年度行方不明者男女比】
男性:53916人(64.2%)
女性:30032人(35.7%)
合計:83,948人
(警視庁発表)
なお、平成21年から25年まで、行方不明者の男女比はほぼ一定を保っており、男性は常に60%以上の割合を占め続けています。
男性が多く行方不明になる理由
女性よりも男性が多く行方不明になる理由は、主に男性のほうがリスクを恐れず、破滅願望が強いせいだとも言われています。
男性は一人行動のリスクを恐れない
行方不明になるということは、社会や家族との接点を経ち、一人で行動することを意味します。だからこそ危険性が高く、行方不明後には事故、自殺、他殺などにより死亡する確率も上がります。
このリスクをあえて選択することは、リスクに対する回避意識が低いことを示していますが、男性はやはり女性にくらべて、リスクに対する苦手意識が低いことから、行方不明者が多いことが考えられます。
また、男性は昔から女性よりもコミュニティの枠からはみ出ることを恐れず、一人行動も得意です。狩をしていた時代から、群れから時折離れて行動する機会がおおかった男性にとって、行方不明になることをそれほどリスキーな行為とは感じないのかもしれません。
女性よりも男性は破滅願望が強い?
破滅願望とは、物事が破壊するさまを望んだり、自らの破壊を望む欲求、もしくは心理状態を指す言葉です。
破滅願望を持つ人は、自らが破滅するような選択をあえて選ぶと言われています。安定を捨て、あえて破滅の淵を歩くような真似をしたがる人間には、いずれも破滅願望があるとされています。
破滅願望を持つ人間は、自らを窮地に立たせることを望んでいます。また、破壊的な衝動に突き動かされやすいため、常識から逸脱した行動にも抵抗を覚えにくいとされています。
こうした願望を持つのは、女性よりも男性のほうが多いとされます。その結果、男性は女性よりも破滅的なギャンブル的人生を好み、損得にとらわれない発想を持つに至ると言われます。この願望により、人は誰も真似できないような境地にたどり着くことが出来れば、反対に、恐ろしい犯罪や自殺などに走る割合も高まります。
事実、男性の犯罪率や自殺率は女性よりも圧倒的に多いく、その破滅願望の高さゆえ、男性は多くの成功と多くの失敗を同時に手に入れていると言わざるを得ないでしょう。
女性の行方不明者が少ない理由
女性の行方不明者が少ない理由は、男性よりも安定と協調を好む人が多いからです。
また、女性社会は男性社会ほど高ストレスな環境では無いため、行方不明になるほどのストレスを抱え込まない可能性も考えられます。
女性は一人で行方不明にならない
女性が行方不明になった時、その先には必ず本人の知り合いや友人など、頼れる人間が存在します。そのせいか、女性は行方不明になったあとも発見率が高く、危険な状況に陥ることは少ないと言われています。
行方不明なって最も危険なのは、一人きりで行動することです。その点、女性は一人行動を好まず、誰かが近くにいてくれる安定的な状況を好むため、行方不明になるとう選択をしにくいのです。
女性は破滅願望が少ない
男性に比べ、女性は破滅願望が少なく、危険な行動をあまり取りません。
行方不明になる時、人はかならずどこかで死を意識します。つまり、自殺や事故死など、自らが破滅する様を思い描き、実現しようとする働きが、行方不明という行動を生み出しているのです。
一方、女性はそこまで強い破滅願望を抱く人は稀です。よほど精神的な疾患があったり、高ストレスな環境でなければ、破滅的な道を選ぶことはありません。
そのため、女性は社会的に常に安定した位置におり、就職率や進学率なども、男性よりもはるかに高いのです。
行方不明者の男女比は時代と共に変化している
行方不明者の男女比は、時代を経るごとに男性の確率が上がり、反対に女性の行方不明率が下がり続けています。
警視庁が統計をはじめた昭和38年の段階では、男女比はほぼ同数したが、それから次第にバランスが崩れはじめ、現在では男性の行方不明率が明らかに高まっています。
(年次別行方不明者届受理状況)
- 昭和38年:男性(43550)女性(40,648)
- 昭和60年:男性(50268)女性(46485)
- 平成10年:男性(53469)女性(35919)
- 平成25年:男性(53916)女性(30032)
(警視庁発表)
この様に時代によって男女比が変化している理由はいまだ定かではありません。
しかし、高齢化社会による行方不明者の増加が著しいことから、高齢者になればなるほど、男性の行方不明率が上がり、反対に女性の行方不明者が減っている可能性があります。
発見率はどちらが高い?
男女のいずれかが行方不明になったあとの発見率については、どちらも行方不明率と同数を占めています。したがって、男女による行方不明者の発見率は同程度を考えることもできるでしょう。
【平成25年度所在確認数】
男性:52457(63.8%)
女性:29725(36.2%)
合計:82,182
(警視庁発表)
しかし、この数字だけでは見えない発見率も存在するため、数字だけをうのみにしてはいけません。
死亡確認数
警視庁が発表する行方不明者の発見総数には、遺体による発見もふくまれています。
平成25年度の場合、死亡確認数は4,293件となっていますが、この内訳の男女比は発表されていません。
男性のほうが行方不明になる確率が高い
女性よりも男性のほうが行方不明になる確率が高い以上、失踪の危険性は常に考えておかなければなりません。
しかし、行方不明になる男性は、社会の中で孤立した存在であることが多いです。家庭でも孤独であり、家族から助けを得ることが出来ません。
人はもともと弱い存在です。誰かの助けを借りなければ解決できない問題ばかりを抱えているのに、誰からも助けてもらえなければ、行方不明になるのもうなづけます。
もしも大切な男性がストレスを抱えているなら、話を聞いてあげるだけで、失踪の割合を下げることが出来るのです。
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