探偵学校は面白い人ばかり?クラスの奇妙な人々

「探偵なりたい!」

そもそも、こんな事を言い出す人というのは、社会一般では変わった目で見られがちです。

かくいう私も、自分のことは相当の変わり者だと思っていますし、探偵なろうとする人々、または現役の探偵の中には、やはり変わった人が多いという印象を受けます。

ただ、変わりものの私からすると、探偵学校に通った当初は、自分のような変わり者が世の中に沢山いることを知り、安心感と嬉しさを覚えたのも事実です。

   そこで、ここでは私が通った探偵学校で出会った風変りな人々と、彼らがなぜ探偵学校に通おうとしたのかについて語らせて頂きます。これから探偵学校に通おうとする方々は参考に、すでに探偵学校に通った経験のあるかたは「ああ、たしかにあるある!」とうなずいてもらえれば幸いです。

 

1『結婚のために探偵になろうとした人』

わたしが通った探偵学校で一番最初に話したのは、とある20代後半の男性(A)でした。

その男性は非常に気さくな人で、学校に通う人の中では最もおしゃれ。

喋るのが好きな人であり、内気な私にも陽気に話しかけてくれたのを覚えています。

当時、私はまだ20歳にもなっておらず、クラスでは最年少。

あまりにも歳の離れた人ばかりが回りにいたので、この人と話せたことで、なんとかクラスの中でも話せるようになったことを覚えています。

 

現役のファミレス店長

 

当時、Aさんは現役のファミリーレストランの店長として働きながら探偵学校にやってきていました。

Aさんの働く店は、じつは私も一度利用したことがある店で、職場を聞いてかなり驚いた思い出があります。

Aさんは大学に在学中にアルバイトとして働いていたファミリーレストランにそのまま就職。

その後も店で正社員として働き、数年前に同店の店長になったそうです。

仕事が好きかというと「嫌いではないよ」と答えていましたが、学生時代から働いてきた店ですから、仕事事態が嫌だった訳ではないと思います。

しかし、ファミリーレストランに就職したはずのAさんがなぜ探偵になろうとしたのか?

つい疑問になた私が尋ねると、Aさんは恥ずかしそうに答えてくれました。

 

結婚のために探偵へ

実はAさんは近々、交際している女性と結婚の予定が控えているとのことでした。

しかも、彼女さんのおなかにはすでにAさんの子供がいるとのことで、来年には出産予定だといいます。

そんな大事な時期なのに、なぜ探偵学校にやってきたのか尋ねると、Aさんは「お金のためだよ」とはっきりと答えました。

Aさんのように、飲食業界で働く人の給料は安いものです。

ファミリーレストランの店長といっても、雇われですので完全な給与制。

しかも時間外残業が非常に多い職場なのだといいます。

こうした仕事をしながら、いきなりの彼女の妊娠、そして結婚というプレッシャーは相当のものだったと思います。

そして、考えた末、Aさんは給与が安定し、なおかつ高水準と言われる探偵業界に入ることを決めたのだと言います。

ただ、探偵へのあこがれが無かった訳でもなく、昔から探偵という仕事への興味はもっていたこと。

また、友人が探偵として働いていたのも大きな影響だったといいます。

「やっぱり、嫁さんと子供には楽をさせたいから」というAさんは、探偵学校の中では常に一番の成績を収めており、講師からも評判の良い生徒であったことを覚えています。

 

2『生粋の探偵オタク』

 

探偵学校の中には、あまりにも探偵が好きすぎるがあまりにやってきた変わった生徒います。

探偵オタクといえば、私も確かに探偵オタクの一人です。

だからこそ、この生徒のことはとても良く覚えています。

学校内では数少ない女性生徒だったBさんは、私と同じようにクラスにはあまり溶け込まないようなタイプでした。

容姿はとても地味で、黒縁の眼鏡に、グレイのセーターを愛用。

探偵としては条件の整った女性。

つまり、外見的にはほとんど記憶にのこらないようなタイプです。

この女性と話す切っ掛けとなったのは、偶然席が隣になった時、彼女がやっていた携帯ゲームが原因でした。

そのゲームは、探偵好きなら誰もが知っている「神宮寺三郎シリーズ」(ハードボイルド推理ゲームとして有名、根強いファンが多い)だったのです。

 

リストラ、そして探偵が好きゆえの選択

ゲームを切っ掛けに話しかけてみると、やはりAさんは探偵オタクの一人でした。

彼女は以前までとある会社のOLとして働いていたそうなのですが、その就職先を不景気のあおりを受けてリストラされてしまったそうなのです。

それからしばらくレンタルビデオ店のバイトをしていたそうなのですが、アルバイトの暇な時間の間、以前から好きだった探偵ものドラマや映画、小説、漫画、そしてゲームなどに以前にもまして大ハマりしてしまったそうです。

その結果、ついにいてもたっても居られなくなり、なけなしの貯金をはたいて探偵学校に入学したのだそうです。

探偵オタクゆえの入学は私も同じなのですが、彼女ほどの劇的なエピソードは持ち合わせてはいません。

彼女は探偵学校でも真面目でした。

探偵オタクの生徒というのは、授業にはひたすらに熱心です。

才能があるタイプともいえないのですが、努力によって学校では良い成績を収めるタイプの人でした。

好きも才能の内といいますが、こういう人なら、リストラも関係なく人生を進んでいけるのだろうなと感じます。

 

■3『正社員になりたくなくて探偵学校に』

探偵学校に通っていて次に話すこととなったのは、30代の男性(Cさん)でした。

Cさんは、一見してどうにも探偵になるようなタイプには見えませんでした。

そもそも、探偵になるタイプとは?自分でも疑問になるのですが、私の中では、探偵になりたがる人というのは、Aさんのようなスマートなタイプか、Bさんのようなかなり変人ぽいタイプの2パータンが最も多いような気がしていました。

ところがこのCさんは、そのいずれにも当てはまらないようなタイプでした。

見た目は少し太っていて、メガネをしており、年齢よりも上に見えました。

喋ることは至って普通。これといって「探偵になりそうなタイプ」にはまったく見えません。

しかし、探偵学校にきた理由について話をきくと、或る意味では普通、そして私にしては相当変わった返事が返ってきたのです。

 

「正社員になりたくて」

 

実はCさんは、その歳になるまでずっとフリーターとして生活してきたようです。

仕事も点々としており、はじめは工場の作業員、次に居酒屋のアルバイト、そして現在はコンビニで働いているといっていました。

Cさんは定時制高校を卒業してからというもの、資格という資格はもっておらず、これといって特技も無いことから、かなり長い間フリーター生活を続けてきたようです。

しかし、そんなCさんもフリータに甘んじていたわけではありません。

何度か正社員になろうと面接を受けてきたそうですが、その全てが失敗、そして、インターネットで「探偵学校に入れば探偵になれる」「探偵は高収入」という情報を見て学校にやってきたというのです。

当時、私は「そういう理由で探偵になる人もいるのか」と思ったものですが、今考えると、こうした考えで探偵になろうとする人はむしろ多いように感じます。

ただし、探偵は甘い仕事ではないとも知っているので、ただ「正社員として働きたい」という思いだけだと、無図解しことが多いかもしれません。

 

5『探偵に憧れる不良』

探偵に憧れるといっても、私や多くの人間はフィクションの中の探偵に憧れています。

しかし、中には稀に、かなりアウトローな探偵の姿に憧れてやってくる人もいます。

その生徒は20代初めの男性(Eさん)でした。

しかし、私はまず最初に彼に話しかける気にはなりませんでした。

なぜなら、かなり怖そうな人間だと思っていたからです。

当時、彼はかなりギラギラした格好をしていました。

ダボっとしたジーンズ、チェーンのネックレスに髪は坊主に近い金髪。

つまり、見た目からすれば完全な不良なわけです。

探偵になりたい人には、こんな人もいるのかと最初は遠目から見ていたのですが、やはり歳がもっとも近いということもあり、次第に彼とも喋るようになっていきました。

 

知り合いの探偵に憧れて

 

この不良青年は探偵学校に通っている間、運送会社で働いていました。

彼は中卒で、やはりかなりヤンチャな過去もあったようです。

彼が探偵学校に通うようになった切っ掛けは、知り合いにいる探偵が原因だったといいます。

その知り合いの探偵は、Eさんの親戚にあたる人らしく、ヤンチャが過ぎるEさんのことを良く気にかけていてくれたそうです。

また、Eさんは時折その探偵に頼み、仕事の下働きもさせてもらったこともあるそうでした。

「探偵になったら、すぐおじさんの所で働くつもりでいる」

そう語るEさんは、確かに探偵に憧れる一人でした。

しかもそれは私のようにフィクションの世界の探偵だったわけではなく、本物の探偵の仕事までを見て決めたことだったと思います。

 

元不良の探偵は現場で活躍しやすい

探偵として多くの他の探偵を見てきた経験からすると、元不良というような肩書を持つタイプの探偵は、現場ではとても重宝されています。

まず一つ言えるのは、気が強いため、現場では堂々としていることです。

特に尾行では、その気の強さが功を奏し、常に冷静に、必要な場面で大胆に行動できることが多いと感じます。

また、物おじしない性格のため、聞き込みなどが得意な人も多いです。

攻めの調査においては、元不良のようなタイプの探偵は「使える」と思われることが多いです。

 

4『旦那さんの浮気調査のため』

 

探偵学校にやってきたある40代の女性(Dさん)はがいました。

この女性、受講していたコースではほかの人と殆ど喋ることがなく、私とも当初はまったくつながりはありませんでした。

しかし、コースを受けていくなかで、なんどか喋る機会がありました。

すると、その女性のほうから私に向かって話しかけてくれたのです。

おそらく、クラスでも年下でしたし、年齢が違いすぎるので話しやすい相手だったのかもしれません。

 

専業主婦で探偵学校へ

彼女は専業主婦の女性でした。

旦那さんが何をやっているのかはわかりませんが、子供を迎えにいくと言っていたので、お子さんがいたのは間違いありません。

専業主婦が探偵を目指して探偵学校へ?

というのは、私のかなり無理のある想像でしたが、当時は世間について良くわからなかったので「専業主婦から探偵になるのって大変ですよね」と言ってしまったのです。

学校の合間の食事も、彼女だけは自前のお弁当を作っていたので、家事などやることが沢山あると思ったのです。

この失礼な質問に、Dさんは笑って「いいえ違うのよ」と答えてくれました。

その後、彼女が私に探偵学校にきた理由について語ることも、親密に会話をすることもありませんでしたが、今になると、間違いなく次のような理由で探偵学校に来られていたものと思います。

 

旦那さんの浮気調査をするため

探偵学校に来る人の中には、稀に旦那さんの浮気調査を自分でするためにやってくる人がいます。

また、こうした人の多くは、探偵学校を運営する探偵事務所、もしくは別の探偵事務所で浮気調査をしています。

探偵学校に通うための費用は10~30万円程です。

Dさんは卒業も早かったことを覚えているので、恐らく簡易的なコースを受講されたのでしょう。

すると、費用はおそらく10万円前後となるはずです。

探偵学校に通って10万円を支払う位なら、普通ならその10万円でプロの探偵に調査を依頼されたほうが良いのでは?と思うでしょう。

しかし、この手のタイプの人はすでに他にも浮気調査を依頼しているケースが多いのです。

しかし、浮気調査をしても結果が出なかったり、浮気の証拠をつきつけても浮気をやめないような時、依頼者は今度は自分で浮気調査の知識や技術を身に着け、決定的証拠を握ろうと考えたりします。

また、はじめから探偵に依頼する費用がないので、探偵学校にやってくる人、また、学校が開催する無料講習会に参加される人もいます。

私も講習会を探偵として経験していますが、こうした場所では、浮気調査、もしくはそのほかの調査の手法などを学ぼうとする主婦の方が結構な割合でこらえるのです。

Dさんがその後どうなったのかはわかりませんが、もしかしたら、離婚して本物の探偵になっているかもしれません。

実は探偵業界というのは、自分の浮気調査の結果証拠を掴み、旦那さんの不貞行為を掴んだ女性が、その後の離婚を切っ掛けに、自分に探偵の才能があることに気が付き探偵業界に入ってくることが良くあるのです。

離婚がターニングポイントとなり探偵業界に入って来た女性は、女性の依頼者にとっては非常に強い味方です。

調査力はもちろんですが、なにより、夫の浮気、そして離婚、慰謝料請求も経験しているので、浮気調査をしたあとのアフターフォローにもなります。

 

まとめ

探偵になる人もそれぞれなら、なる目的も様々。

そして、それだけ多くの目的を持った個性ある探偵が業界には沢山いるので、かなり変わった人が多いという印象を受けるかもしれません。

ただ、探偵業界に入ってしまえば、自分でも思うであろう「探偵になるのは変な夢なのか?」という思いは一気に当たり前へと変わります。

本当に自分にあった仕事を求めてるなら、探偵もいずれ必ず自分の居場所になるでしょう。