探偵業における撮影技術とは、料理における素材選びのようなものです。
どれだけ尾行、張り込みが良くできたと言っても、撮影能力が中途半端では、せっかくの調査も台無しです。
では、探偵学校ではどの様にして撮影技術を学べるのか?その一部をご紹介します。
実際の調査の写真を見て学ぶ
探偵学校でまずはじめに教わるのは、実際の調査で本物の探偵が撮影したものを見て、どのような映像が必要なのかを学ぶところから始めます。
現場の映像を知ることでポイントを探す
現場で撮影した映像を見ることで、まずは調査に必要な写真がどのようなものかを探ります。
映像は、全て報告書のために必要となります。ということは、報告書に載せている映像を見ることで、調査にはどんな場面の映像が必要なのかを学ぶのです。
ポイント1建物からの出入り
まず最初に大切なポイントとなるのが建物からの出入りです。
実際の調査では、特定の場所を張り込み、そこから出てきた対象者を追う所から尾行が始まります。
この部分をしっかりと撮影しておかないと、対象者をきちんと調査開始場所から追っていたのか証明できません。
建物からの出入りでは、建物から対象者が出てくるタイミングをきっちり抑えられれば理想的です。例えば、建物出入り口を開けて出てくる場面から、道に出て歩き出すまでを撮影するのがベストです。
しかし、建物から直接出てくる場面を抑えられなくとも、対象となる建物から出て道を歩き出した場所を抑えるだけでも証拠写真としては十分通用します。
対象者の写真は、出来るだけ本人だと解ること。また、その服装なども分かるように撮影するのがベストです。出来れば全身が入る引きの写真と、顔のアップが欲しい所です。
ポイント2尾行中の映像
尾行中に撮影は、主に対象者がどのようなルートを通って移動したのか分かるように撮影します。信号待ちなどでは、信号の名前、道路の青看板や道路の名前が分かるような部分も撮影します。徒歩尾行の場合は、本人の顔を正面からとらえず、その多くは後姿を撮影し続けることになります。
また、移動中にはどのような公共機関を使ったのか、タクシーに乗ったのかも分かるよう、それぞれの乗り物に乗り降りする部分も撮影します。
ただし、公共機関の中で行う撮影は不審者として鉄道警察に間違われやすいので、プロの探偵もあまり無理をして撮影しません。
ポイント3建物への出入り
建物への出入りは調査中には必ず押さえなければなりません。ただ、ここを抑えるのが、実は尾行中では最も難しいポイントです。
尾行中に対象者がいつ、どのタイミングで道路から建物に入るのかは、ベテラン探偵にならないとなかなかタイミングがつかめません。
また、道路から建物に入り、ドアを閉めるかエレベータに乗り込むまで、わずか数秒ほどしかチャンスはありません。このタイミングで、相手に気が付かれないように撮影できるかで、報告書の精度が大きく変わります。
ただし、あまり無茶をしてこのシーンを抑える必要はありません。学校などではこうしたポイントを抑えた写真を出しますが、講師からは無理にこの場面を抑えようとして、対象者に気が付かれないように注意が促されるでしょう。
ポイント4接触した人物の容姿
調査中に接触した人物は必ず映像に抑えなければなりません。それが異性ならば猶更のこと、本人とは深いかかわりのある人間である(浮気相手など)可能性が高いので、絶対に撮影します。
この時に注意すべきは、それぞれ2種類の映像を抑える必要があることです。
1つ目は顔のアップ。これは、相手の顔を報告書に乗せることで証拠としての能力を高めるためと、後にこの人物を調査する時に必要な顔写真を手に入れるためでもあります。
二つ目は本人の全身像です。身体的特徴はもちろん、どのような衣服を着ているか、所持品から靴、バックに至るまで映るような写真を撮ります。この写真も接触した人物の人となりを依頼者に説明するためと、報告書の証拠としての能力を高めるために必要です。
尾行中の撮影訓練
写真を撮る大切なポイントがわかれば、今度は実際に街中に出ての撮影訓練がはじまります。撮影は尾行訓練の間に行います。実際の調査でも、尾行をしながら撮影を行うのが基本的な方法となります。
動きながらの撮影になれる
尾行中に撮影を行うという事は、常に動き回る間に撮影をこなすことなります。
このポイントが、そのほかカメラを使う仕事と大きくなる点です。
動きながらの撮影では、常にピンぼけやフレームアウトの恐れがあります。ビデオカメラを使うことでこの点は多少改善できますが、それでも簡単にはいきません。
隠しながらの撮影になれる
尾行中にはカメラを露出させた状態で撮影できる機会はまずありません。街中では、ビデオカメラを回しながら歩いていれば対象者に警戒されるだけでなく、警察の職務質問の対象になってしまいます。
ビデオカメラを隠す方法は、手やカラで覆う、もしくはバックなどを利用して隠す方法があります。どちらが有効とも言えませんが、ビデオカメラを多用する現在の多くの探偵社では、バックを利用してカメラを隠すことが多いです。
隠しながら撮影をするときに覚えなくてはならないのが、カメラの構えかたです。
カメラを構える時には、どうしても怪しい恰好になってしまうもの。その姿を対象者に見られてしまうと警戒される原因となります。
より自然隠しながらカメラを構え、なおかつ撮影を行う方法も探偵学校ではきちんと教えてくれます。
まとめ
撮影技術は探偵業の中では非常に重要なポジションにあります。それだけに、習得するのはかなりの時間がかかりますが、基礎的な撮影技術を学ぶためにも、探偵学校に通ってみることをお勧めします。
また、使用する機材についても探偵学校で教えてくれるので、独立開業をするときに、どんな撮影機材をそろえたら良いのかも探偵学校で教えてくれます。
費用面は各探偵社によって変わるので、様々な探偵学校を見比べてみるのも良いでしょう。ただ、出来れば自宅から近い場所がベストです。
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