探偵はなぜ浮気調査をするのか?その理由について

探偵はなぜ浮気調査を行っているのか、その答えは、実は探偵自身からしても不思議なものです。

浮気調査は確かに面白い仕事ですが、あまり世間的には良い評判のある仕事ではありません。では、なぜ探偵がわざわざそんな仕事をするようになっていたのか?今回はこの問題について皆さんと一緒に考えてみることにしましょう。

探偵は初めから浮気調査をしていた?

一説によれば、探偵業はその成り立ちと同時に、浮気調査を行い続けていたと言われています。

パリの英雄も浮気調査をしていた?

世界で初めて探偵業を始めたとされるのは、1833年にフランスで探偵業をはじめたフランソワ・ヴィドックです。それ以前にもおそらく欧州では探偵業なるものを開業していた人物はいたでしょうか、それらの記録が殆ど残されていません。

しかし、ヴィドックは元犯罪者から警察の密偵、そして初代パリ警視庁のトップにまで上り詰めた後、探偵として活躍した逸話を持つ人物。当時の文学界にも影響を及ぼすほどの名探偵であり、フランスの英雄的扱いも受けていた時期もあり、本人の自伝を含め、探偵としての活躍も記されていたのです。

ヴィドックが探偵業に専念しはじめた時、彼は会員制度によって顧客を抱え、彼らの秘密を守り通していました。その調査のバリエーションに富んでおり、商売に関する調査から行方不明者の捜索、そして警察が対応できない事件の解決を含んでいます。

そしてその中にも、やはり浮気調査が含まれていたと言われています。当時からこのての調査は富裕層を中心に需要があることがわかりますが、同時に、男性も女性も恋愛に情熱的であったパリでは、浮気をする男女があふれていたことも伺えます。

 

日本の名探偵も浮気調査を行う

日本で最も有名な探偵といえば、明治から大正時代に掛けて活躍し、日本で初めて本格的な私立探偵社を作り上げた岩井三郎でしょう。

岩井三郎氏はもと警視庁の刑事でしたが、当時の警察の捜査方針に疑問をもち、より自由な探偵活動が出来ると、当時世界中に誕生しつつあった私立探偵を日本でも作り上げようと、警察を退職し自ら探偵となったのです。

岩井三郎といえば、内閣総辞職にまで追い込まれた、戦艦・金剛をめぐる汚職事件『シーメンス事件』を解決に導いたことで知られていますが、彼が残した自伝によれば、その中には明らかな浮気調査が幾つも存在しています。

 

また、自伝を読めば誰もが気が付くように、岩井三郎氏はこの手の調査を特別珍しいものとして取り扱っておらず、調査の様子もしごく慣れています。

この事から、少なくとも日本では大正時代から浮気調査が行われており、その歴史はかなり古いものであることがわかります。

 

浮気調査をしなかった探偵も

私立探偵の始祖であるフランソワ・ヴィドック。そして日本が誇る名探偵・岩井三郎。この両名共に遥か昔から浮気調査を行ってきたのですが、世界をさらに見渡してみると、浮気調査を行っていなかった探偵達もいます。

アメリカ「ピンカートン探偵社」

ハリウッドでの西部劇で良く登場し、なおかつあのコナン・ドイルもピンカートン探偵社の探偵をモデルにしたこともある、世界一有名な探偵社『ピンカートン探偵社』。最近では再びハリウッドでピンカートン探偵社が取り上げられ、連続ドラマになるなど、アメリカでその人気は未だ衰えてはいないようです。

このピンカートン探偵社は、もともと警備業やスパイ業としての色が非常に濃く、世界でも稀にみる探偵社でした。

創設者であるアラン・ピンカートンが会社を作った当時、アメリカ、特に西部ではアウトロー達が州を跨いで犯罪を行い続けており、特に列車強盗などの甚大な被害を及ぼす犯罪が横行していました。

 

溢れた犯罪に対応するための探偵社

当時のアメリカの警察制度は非常に軟弱なもので、保安官の数も足りなければ、州法に依存するがあまり、州を跨いだ犯罪者を追いかけることがとても難しかったのです。

こうした警察制度の不備は19~20世紀初頭まで続いており、日本の岩井三郎も、実は警視庁が手が出せない北海道に罪人が逃げ込み、それを終えなかった悔しさから探偵に転身したと言われています。

 

しかし、アメリカの警察組織の未熟さは日本の非ではありません。国土も広く、さらには移民も大量に入り、アメリカン・ドリームを夢見る血気盛んな人間たちが大量にいたアメリカの犯罪の激しさは、日本警察官よりも遥かに多くいた保安官たちでも抑えきることは出来なかったのです。

そこで、ピンカートン探偵社はまず真っ先に犯罪と真向から対立し、アメリカ市民が自らの利益を守るための警備サービス。そして悪質な犯罪者を見つけ出し、警察に引き渡すことを仕事にしはじめたのです。

 

警備業を重視

ピンカートン探偵社は主に警備業務によってその名をはせていました。

最も有名なのは、リンカーン大統領の護衛任務で、リンカーンが暗殺されたのはリンカーン大統領の警備からピンカートン探偵社が手を引いたことが原因であるとも言われていました。

さらに、ピンカートン者は輸送会社からの依頼を受け、当時横行していた列車強盗から積み荷を守る仕事もメインに行っていました。

当時のピンカートン探偵社には元軍人や保安官などの腕利き機が揃っていました。それも凶悪な犯罪者に対して、軍や警察よりも積極的に接する必要があったからです。また、その報酬も当時の保安官の数倍もの金額であり、当時優秀で名を馳せた保安官や軍人は次々とピンカートンにヘッドハンティングされていたようです。

 

州を跨ぐ犯罪者の確保

州を跨いで次々と犯罪を犯し続けるアウトローたちを捕まえることは、当時の警察には出来る仕事ではありませんでした。そこで、民間の有志や実力者、さらには国から依頼を受け、ピンカートン探偵社は地方で暴れまわるアウトローを確保していたのです。

この仕事は、のちにアメリカで州を跨いで捜査を行うことが出来る組織『FBI』の誕生にも大きくかかわっています。

 

まとめ

探偵にとって浮気調査は必要不可欠なものです。

しかし、そうではない探偵社もかつては存在していたのは、浮気調査よりも優先すべき事柄があり、なおかつ、国がその問題に対応できなかったからです。

日本でも昔から浮気調査があったからといって、今のように調査の6割以上を占める程ではなく、他に様々な調査の依頼があったようで、特に戦後まもなくは、戦争のために行方が分からなくなった人々を探し出す「人探し」が依頼を埋めていたと聞き及びます。

どうやら、浮気調査が増えるというのは、世の中が平和である証拠なのかもしれませんし、もしかしたら、探偵の多くも浮気調査をしているほうが、日常に平和を感じているのかもしれません。