探偵業は法に基づいて地道な調査を行う仕事ですが、依頼を受ける中で様々なドラマがあります。
問題解決に向かうときは依頼者から信頼を寄せられ人のために役立てる仕事といえます。
しかし、依頼する方にとっては自分の人生のマイナス要素をゼロに持っていくことであって、問題が解決しても手放しでは喜べないという一面もあるのです。
数ある調査項目によって、そこにあるドラマは違ってきますが、その中からリアルな探偵の仕事を垣間見ることで、探偵の魅力もわかっていただけるでしょう。
浮気調査から見る知られざる探偵の仕事!
探偵といえばハイテク機材を使って、依頼すればあっという間に何でもわかってしまう映画の世界を思い描くでしょうか?
それとも、シャーロックホームズのように知識と推理力で刑事事件を解決する小説の世界を思い描くでしょうか?
現実の探偵はそのどちらでもなく、尾行や張り込みなどの実地調査を行って、地道に調査目的を果たす仕事といえます。
現代では、インターネットの発達に伴って、調査がより簡単になることもあれば、複雑になることもあり、それと同時に調査する項目も増えてきました。
刑事事件にはならず警察が介入できない案件も増えているため、そこに至る前の防止策として探偵を雇うという依頼者も増えているのです。
浮気調査は今や探偵のメイン業務
数ある探偵の仕事の中で最も依頼件数が多いのが浮気調査です。
浮気調査には依頼の数だけ夫婦の愛憎劇があるといえ、調査のプロセスで様々なシーンを見ることになります。
探偵が現実に目のあたりにするのは夫(妻)と浮気相手の姿で、現場に乗り込んでくる依頼者もいるため修羅場になることもあるのです。
「今来ちゃダメです!証拠が撮れそうだから!」
「もう我慢できません!ウチの旦那は3回目の浮気なんだから!」
探偵は浮気調査を解決するたびに喜ばしいやら悲しいやら複雑な気持ちを味わうことになります。
しかし、浮気調査が終わったあとは、探偵も依頼者もともに「人生の大変な時期をクリアすることができた」という一応の安堵感に包まれるのです。
「人が家のために必死で働いてきたのに!でも浮気相手にも証拠突き付けてわからせてやったから満足ですよ!」
こうした会話が映画や小説の世界とは違う、探偵の仕事での一幕なのです。
では、具体的に浮気調査とは何をするのでしょうか?
浮気調査の6つのプロセス
以下に示す6つの流れから、依頼のポイントがわかってきます。
依頼者の方がサイト検索をして、依頼してみようかと思う探偵社にファーストコンタクトをとる段階です。
サイトを見るとどの探偵社も「メール・フリーダイヤルでの問い合わせ」というバナーを表示しているでしょう。
ここで依頼したいと思う方は探偵社に対して何を調べてほしいか、料金はどのくらいかかるか、などの簡単な質問をして、実際に面談する段取りを決めていきます。
無料相談で調査の内容や報告書のサンプルを見たり、浮気調査の詳しい話を聞いていきます。
依頼者は探偵へのイメージから「あやしい!」と思って恐る恐る事務所を訪ねてくる方もいます。
ここできちんと探偵の印象を確かめて、浮気問題で抱えた悩みや、浮気に関する情報を伝えていきましょう。
無料相談は「無料」というだけあって、「軽く話を聞いてみるか」と思う依頼者の方もいますが、探偵側にとっては「無料相談こそ調査の始まり」です。
依頼者がどれだけ情報を持っているか、調査にかかる日数を計算したり、本気で契約をしてもらえるかなどを推し量る重要な場なのです。
セカンドコンタクトから浮気調査が始まっていると言っても過言ではありません。
無料相談で納得がいったという方は、正式に依頼をして契約書にサインします。
探偵が用意する書類には、契約書・重要事項説明書・誓約書などさまざまな種類があります。
料金の概算や支払い時期、個人情報保護、探偵業についての法令遵守などを依頼者に説明し、納得がいった上でサインをしてもらいます。
説明をした上で書面を交付することが義務づけられているため、依頼者はきちんと説明を聞いておきましょう。
探偵は尾行・張り込み・面接による聞き込みなどの実地の調査をして浮気現場の撮影を行い証拠を確保します。
この調査にかかる時間や日数で料金が変わってくるので、一発勝負で浮気の証拠がとれることもあれば、予想外に数日かかることもあるのです。
浮気調査において「調査」とは、裁判上の離婚理由である「配偶者に不貞行為があったとき」を証明するホテルへの出入りのシーンを撮影することを指します。
また、証拠が撮れたあとも離婚に向けて必要な情報収集があり、音声収録などはその代表的なことといえるでしょう。
これらを料金の範囲内において、依頼者の同意を得て行うのが浮気調査になります。
探偵は調査のプロセスでターゲットの行動を細かく文書で記載していきます。
「10:00ターゲットは浮気相手と思われる女性(20代後半 ロングヘア ブルーのロングコートに黒のブーツ着用)と○○百貨店において、手をつなぎながら買い物をしている」
こうした行動を時系列で追っていき、書類としてまとめます。
報告書は裁判でも使われることを予想し、人物の特定、行動、会話内容、持ち物、立ち寄り先、移動手段などすべてを記載いくのです。
そこに写真を貼りつけて時系列で解説するというのが一般的な報告書になります。
このほか、現在では動画での撮影データを主に使っている探偵事務所が多いため、SDカードなどからDVDにして依頼者に手渡すことが多いでしょう。
浮気調査で依頼者が求めるのは「浮気の発覚」と「離婚するか復縁するかという自身の判断」です。
調査後のアフターケアが後者にあたり、依頼者にとって心強いサービスになるでしょう。
ここで活躍するのが相談員・離婚、メンタルカウンセラーの存在です。
離婚に際し、どんな条件を決めて別れるべきかや、収入や子供の状況を考えて今は踏みとどまるべきかなどを提案していきます。
こうした人生の分岐点に立たされる依頼者をサポートするのが調査後のアフターケアサービスになります。
浮気調査を含む調査業務のカテゴリーは、以上のように大きく分けて⑥つのプロセスから成っています。
探偵は依頼者と密に連携をとって、時には調査の補助を受けながらともに浮気の現場を押さえていくのです。
依頼してわかる探偵と一緒に調査をする意味!
依頼者が探偵と共同作業で調査を進めることは多く、最初は「探偵=あやしい」だったイメージが、そのうち調査をすることに楽しさを感じる方もいらっしゃいます。
探偵を通して自分のパートナーと浮気相手の姿を見聞きすると、悲喜交々といった感情が生まれてくるようです。
ここに探偵の仕事の面白さもあり、夫婦のドラマがあるといえるでしょう。
依頼者の男性がいて、奥さんと浮気相手を追っていたとします。
自身は奥さんが外出する時の服装や持ち物などを探偵に連絡し、その情報をもとに探偵が尾行をしていきます。
浮気相手が乗っている車、服装や姿からどんな男なのかは最も気になるところですが、これが知人だったというケースもあるのです。
「もっとそいつを追って!接近して撮っちゃえばいいだろ!」
「もう俺がGPSで検索するから探偵さんはこっちのルート行ってスタンバっててよ!」
こんな会話が調査中に行われ、最初は恐る恐る探偵事務所を訪れた依頼者も、調査に懸命になっていく姿が見てとれるのです。
探偵はこれまでの尾行・車両の扱い方・カメラワーク・張り込みなどの技術を駆使して、ターゲットにバレないようシャッターチャンスを狙います。
時には冬のホテル街やアパート付近での張り込みなどは車のエンジンを切って、翌朝まで氷点下の中張り込みを行うこともあります。
南極越冬隊よろしく、真冬の我慢大会の様相を呈しながら、ターゲットが出る瞬間に備えていくのです。
しかし、実際に調査をする方は体力・気力・技術・知識・経験すべてを総動員して、証拠の撮影に奔走するのです。
これが探偵の実態というもので、普段接点のない方がイメージする探偵とは違うことを知っていただけると思います。
依頼すること自体はお金はかかるものの、一緒に調査に参加している感覚を体験するのは興味深いことだと思うはずです。
このほか、素行調査・行動調査・結婚前調査なども同じように①~⑥のプロセスを経て各調査目的を果たしていきます。
個人の趣味や嗜好、素行などを把握したり、結婚前なら言葉と行動が一致しているかなどを調査していくのです。
特に、財産についての言動があやしいと感じたら、それを調べることで万が一の結婚詐欺の被害を防ぐことが可能です。
防犯サービス・ストーカー対策から見る探偵の仕事!
近年、調査業務と並んで増えてきているのが防犯業務で、大手探偵事務所などで機材が揃っているところでは時代とともに増える刑事と民事の中間業務まで手広くサービスを実施しています。
高性能の防犯カメラ、小型カメラ、盗聴器発見機などを使って、依頼者の自宅ほか店舗などに設置して犯罪を防ぐ役割を果たします。
また、刑法だけではなく迷惑防止条例などの施行により、警察だけでは対応しきれない事案も増えてきたことを背景に、探偵に依頼して解決を試みる依頼者も増えています。
その代表例がストーカー行為への防護策としての依頼で、ネットワークの普及に伴ってこうした事案が事件化することもあるため、探偵が対策業務の一環を担っているのです。
防犯カメラの設置と盗聴器発見サービス
防犯カメラのレンタルサービスや設置業務は探偵の防犯サービスの代表例といえるでしょう。
こちらも調査業務と同じように①~⑥の流れに沿って、「メール電話からのコンタクト」・「無料相談と説明」・「料金説明や契約書へのサイン」・「カメラの設置や防犯対策」・「報告書提出」・「アフターケア」で構成され、調査の変わりにカメラの設置や盗聴器の発見といったサービスがなされます。
依頼者の自宅や店舗内で窃盗のおそれがあるなど、特に個人宅からの一時的な防犯依頼が多いといえます。
警察でも警備業でも対処しきれない部分で、探偵が所持するカメラの特性を利用してサービスを実施します。
盗聴器はテレビ特番で見たことがあるという方も多いでしょう。
探偵が車で住宅街を走りながら、盗聴電波を拾って盗聴器が仕掛けられている家を特定していくシーンは誰しも目にしたことがあるはずです。
「こちらのお宅に盗聴器が仕掛けられているようなので、取り外しをしたいのですが」
「え!?うちに盗聴器!元彼が仕掛けたのかもしれない!」
このような会話がテレビ画面から流れてきますが、これはあくまでテレビの世界でのことですので、実際は依頼が入ってから探偵が動くということになります。
個人情報保護法が施行されてからずいぶん経ち、自宅内に仕事の書類などを持ち帰って保管するといった方も増えてきています。
そうした観点から、自宅内で会話する仕事上の重要情報が誰かに聞かれていないかといった不安を抱える方も多くなってきているのです。
仕事の転勤で引っ越したウィークリーマンションや新しいアパートなどは、前の住人がどんな人物だったかなどはわかりません。
万全を期して引っ越しと同時に盗聴器発見を依頼し、何もないということを確認する意味で探偵に依頼する方もいらっしゃいます。
ストーカー対策
桶川のストーカー事件を皮切りに、「ストーカー」という言葉が広く認知され、それが事件化したことによって社会に大きな影響を与えました。
この事件を背景にストーカー規制法ができましたが、現実的にストーカーに遭っているところを自身で察知して警察に訴え出るということは難しいでしょう。
いつ、誰に、どうやってストーカー行為をされているかを自分で証明することができず、警察に相談しても数回の巡回で終わってしまいます。
そんな事態に対処するために探偵によるストーカー対策を依頼する方が増えてきているのです。
ストーカー事案の相談件数の推移
上記は警察に寄せられたストーカー事案の相談件数の推移です。
これをすべて警察だけで対処することは難しく、どうしても自衛策が必要になるでしょう。
そこで、探偵事務所もストーカー事案に対抗できるサービスを実施し、防犯業務の中に取り入れていったのです。
このサービスは防犯業務と調査業務が合致したものといえ、張り込みや尾行などの実地の調査を行った上で、依頼者宅にカメラを設置するなどの対策を施していきます。
あやしい人物の影が見えたら特定し、警察と連携して事件を未然に防ぐ役割を果たすのです。
探偵は機材の性能や扱い方、種類などに詳しいプロフェッショナルが在中し、こうした事案に対処していきます。
特に女性からの依頼が多く、問題が解決した際は「安心した、依頼してよかった」と感謝されることもあるので探偵名利に尽きるといえるでしょう。
このように、防犯業務では機材やシステムの知識や技術が問われてきます。
探偵が社会の中で必要とされる理由には、こうした社会的な背景があり、法律の施行とともに民事と刑事事件の間隙を縫うような対処が求められるのです。
まとめ
調査の数にはそれだけ依頼者の悩みや問題があり、探偵はそこに潜む夫婦や恋人などの人生を垣間見ることになります。
問題解決にあたって、依頼者と共に調査を進めていくことで、依頼者は探偵に対するイメージを変え、「依頼してよかった」と思うようになります。
探偵に依頼するということは、その方の人生がマイナス方向に進みつつある流れを修正して解決することです。
そこでの探偵とのやりとりで軌道修正をし、岐路に立たされた部分を変えていくことができるのです。
社会的な背景、法律の施行とともに、探偵は刑事事件と民事事件の間に立ち、日々依頼者が抱えるトラブルに対処しています。
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