探偵は依頼者に感情移入しない?クールな探偵の本当の理由

探偵にはとてもクールな人が多いです。

調査の結果、どんな結果になろうとも表面上は動じることはありません。

 非常に冷静であり、人から見れば一種の「冷血動物」のように写るかもしれません。そんな探偵たちがなぜクールなのか?その理由について今回は詳しくご説明させて頂きます。

探偵がハードボイルドな理由

 

探偵というと多くの人がハードボイルドなイメージを持っています。

感情の起伏が多くなく、常に冷静沈着、クールに仕事をこなすような印象かもしれません。

しかし、実はハードボイルドな探偵像というのは、探偵の職業にといて必要に迫られて出来がったものです。

もともとハードボイルドな冷静沈着な人ばかり探偵になるのではなく、探偵になると、誰もがハードボイルドになっていくのです。

 

感情移入は命取りになる

 

探偵の世界で依頼者や対象者に感情移入することは非常に危険です。

感情移入とは、自分ではない別の人間の考えや心持ちなどを想像することにより、その本人と同じような感情を持つことを指します。

辛い人が居たら一緒に悲しむこと、怒っている人と一緒に怒ることなど、人間のコミュニケーションでは必要不可欠な能力であり、普通の人ならば、感情移入によって仕事が良く回ることもあります。ただ、探偵の世界における感情移入は、調査を失敗させる可能性を大きく秘めているため、おおくの探偵が調査に感情を持ち込まないようにしているのです。

 

依頼者への感情移入

探偵が最初に感情移入するのは依頼者です。

探偵事務所にやってくる人というのは、必ずトラブルにまみれてしまい、自分一人ではとても解決できない状態になっています。

それも、警察や弁護士、医師、市役所など、一般的な問題解決のために利用できる様々なサービスでは問題が解決しないためにやって来るのですから、その思いは激しいものです。

こうした依頼者のために仕事をするのが探偵の本分なのですが、困り果て、精神的に疲弊しきった依頼者に感情移入をしてしまうと、探偵自身が感情的に調査を行うことになります。

 

対象者への感情移入

 

探偵をやりはじめると、そのうちに対象者に対しても感情移入しはじめることがあります。

人間は立場やその行いによって敵や味方などを分けるものですが、探偵と対象者というのは、敵という間柄ではありません。

対象者からみて探偵は敵であっても、探偵はただの観察者にすぎません。

探偵は対象者の行動を観察するうちに、彼らの言動から感情移入をすることもあります。

とくに、様々な理由で困っている対象者ともなればなおさらで、つい出しゃばり、対象者をなんとかしようと思いたくなることもあります。

 

感情は事実をねじまげる

 

依頼者や対象者に対して、探偵はつい感情移入したくなる場面が多々あります。

それが人間を見る仕事の持つ逃れようのない性でもあり、様々な人間を見ても、心がまったく揺れ動かないことなどありません。

しかし、感情に流されることは、探偵にとってはデメリットに働くことが多過ぎるため、多くの探偵が感情を表に出さず、冷静に、ただ事実のみを追うようになるのです。

 

感情移入は事実を捻じ曲げる。

 

感情的な調査をすることは、それだけ事実を捻じ曲げやすい状況に陥ります。

探偵たちが追う事実というのは、ありのままの現実です。

依頼者がたとえ浮気調査の結果、白であることを望んでいても、探偵の調査の結果黒であれば、黒である事実を伝えなければなりません。

反対に、対象者が可哀想だからと、事実をねじまげ、対象者が白であるとも報告できません。

感情的になった人間は、感情を移入させた相手の願望をかなえようとします。

助けて欲しいと願う人間に感情移入すれば、当然その本人を助けようと必死に働くもの。

しかし、感情移入が過ぎてしまえば、彼らの思う「願望」すらもかなえようとするのです。

 

感情は情報を隠す

 

人は自らに都合の良いものだけを見ようとする癖があります。

とくに、感情に左右されやすい人間ほどその傾向が強く、疑心暗鬼や思い込みの罠に簡単にはまります。

例えば、ある浮気調査の結果、対象者があるアパートの一室に入っていったとします。

その結果、中には調査員が知らない寝巻姿の女性がいました。

滞在時間は1時間。部屋に入る前には、対象者は近所のスーパーで買った食材を持っていました。

この場合、浮気を疑う人間ならば、必ず「これは浮気に違いない」と思うでしょう。

そして、疑った人間に浮気であると思わしき部分を指摘してもらうと「女性の部屋にいた」「食材を購入したこと」などをあげます。

しかし、探偵はそうは考えません。

事実だけを見る訓練をしている人間の場合、この情報を次のようにとらえます。

まず、良く考えてみれば、部屋に入ったといっても、滞在時間が1時間というのは浮気をするにはあまりにも短すぎます。

性行為をするにしても短いです。食材を買って来たということは親密な間柄であり、事前に部屋の持ち主である女性と連絡を取っていたことが伺えます。

しかし、一緒に食事をするにしても、やはり1時間という時間は短すぎます。

室内の女性は身だしなみを整えている様子はありません。

この情報から、浮気の可能性は確かに捨てきれません。

しかし、もしもこの女性が対象者の妹や姉だとしたたら?寝巻姿でいたのは具合が悪かったとしたら?

買い物にいけず、兄弟に頼んだとしたら?そのような推測も成り立つ事実を、浮気を疑いすぎている人間はまるで見ようとはしません。

このような反応を、調査の世界では『確証バイアス』といいます。

バイアスに陥った人間は、事実の中から、自分の見たい事実だけを選んで、自分好みのストーリーを作ろうとします。

ですが、こんなことを探偵がしていたら、依頼者に誤解を与えるような報告書を作ってしまい、依頼者にただ迷惑をかけてしまうでしょう。

 

探偵はハードボイルドにならざるを得ない

 

探偵をやる以上、誰もが事実のみを冷静に追い、調査や面談の際には、自身の感情を押し殺す必要があります。

ですが、その段階も過ぎていくと、探偵はやがてバイアスに陥りにくくなっていき、依頼者に対しても人情味を出すことが出来ます。

ベテラン探偵になればなるほど、実はハードボイルドさというのは消えていきます。

事実を誤らずに見る能力が備わると、依頼者のために仕事をしても、調査中に感情移入によるミスを犯さなくなるのです。

また、どんな探偵でも、依頼者のために働けるからこそ、仕事に張りが出ることを知っているのです。