探偵の調査を阻止しようとする謎の存在とは?

探偵の調査は、基本的には他の人間に邪魔されるものはありません。

あるとすれば、偶発的な事故のでしかなく、誰かが意図して探偵の調査を邪魔することは出来ません。

しかし、その中には非常に稀なケースとして、対象者でも依頼者でもない第三者が、探偵の調査を阻止しようと現場に登場することがあります。

こうした話は探偵業界では都市伝説のようなものであり、

体験した人間は非常にごくわずかなものです。

   ただ、この噂を数年前に私は実際に体験しています。そこで、珍しい探偵の体験談として、探偵の調査を阻止しようとする人間達の存在について語らせて頂きます。

 

探偵の調査を阻止しようとした人達

 

私が調査の阻止を始めて体験したのは、探偵になって1年ほどが経験した頃でした。

探偵の一年目など、まだまだ新人中の新人です。当時、私は初めて働いたある大手探偵社の支社で先輩探偵と常に現場に出続けていました。

調査の中心は東京都で、その日も同じように都内のある調査に参加していました。

探偵の調査というのは、自社で行うものだけでなく、別の探偵社の案件にも調査員が参加することがあります。

そして、私はその日、調査員が足りなくなった別の探偵社の応援として現場に参加していました。

当時、私は新人ながら別の探偵社の調査に多く参加していたので、他社でも仲の良い先輩探偵たちが沢山いました。

その日は特に中の良かった、支社の代表とその部下が行っている調査で、私が到着した頃には、すでに張り込み車両の中でビデオカメラが回っていました。

 

「よう、〇〇ちゃん、遅かったね」

「すいません、前の現場が立て込んでいまして!」

懇意にしてもらっていたこの代表と先輩である他社の調査員とは、かなりラフな関係で付き合える間柄でした。

そのため、その現場も他の調査よりは幾らか気楽で、到着してから雑談も含めながら現場の説明を受けました。

 

・大手企業の社員の不倫調査

私が張り込みに入った車の前には、誰もが知る大企業の本社ビルがありました。

時刻は夕刻、すでに門の中から何名かのスーツ姿の男女が外に出始めていました。

この企業に勤めるとある男性が今回の対象者でした。

 

「相手は、同じ部署のBという女らしい、退勤後に女のマンションに対象者ごと入ると思う」

「家はわかってるんですか?」

「わからん、依頼者は間違いないといってるが、どうかな」

 

社内不倫の場合、相手の素性が依頼者に伝わる確率はかなり高いです。

メールの内容などから簡単に推察できる相手が多いので、もしも証拠が揃っているなら、依頼者の情報は確実です。

また、同じ会社の人間同士なら、帰宅までの間にどこかで接触し、そのまま帰宅デートに突入するものです。

さすがに学生のように、会社から一緒に手を繋いで出て来るような事はありませんが、対象者さえ捉えておけば、接触する相手が現れるのを待つだけです。

 

謎の男女の登場

 

私がこの現場に呼ばれた最大の理由は、面取りを行う人数が足りないからでした。

大手企業の大金時間は、まるで通勤ラッシュのような状態になります。

会社から一気に大量のスーツをきた人間が溢れてくるばかりか、出入り口は複数あり、最低でも3人はいなければ会社から出て来る対象者を捉えることは出来ないのです。

そこで、地下鉄の乗り場に最も近い正面出入り口を抑えることにしました。

代表も私と同じ位置で、別の角度から張り込み、のこる先輩調査員は裏口を担当することになりました。

正直にいえば、この人数ではまったく心もとない現場でした。

実際に5時を回ると、一気にかいしゃの中から人が溢れ出してくるのです。

しかも、中にはマスクをしている人間も居るため、瞬きすらも許されないような状態となりました。

 

その最中です。

私が張り込んでいた正面玄関の右側から、妙に派手なスーツの女が現れました。

驚くことに、上下全身ピンクに身を包み、しかも真っ赤な髪をして道を歩いているのです。

さらに、その後方には、盲目の男が視覚しょうがい者ような杖で道を探りながら、怪しい足つきで歩いてきました。

はじめの派手な服装をした女は、なぜか離れた場所で張り込んでいた代表の前で立ち止まると、そのまま携帯電話を取り出して立ち話を始めました。

そして、私の目の前を杖で地面を探りながら歩いていたスーツ姿の男性は、ゆっくりと私の前をすぎていこうとします。

一瞬、私はこの男に目を奪われていました。

後で話を聞くと、代表も目の前の派手な女に目を奪われていたといいます。

ところが、私はその男の動きが妙な事に気が付きました。

たしかに、一見は障がい者ですが、妙なのです。

その場所は都内のオフィス街。しかも時間は人があまりにも多い退勤時間。

こんな時に、なぜ障がい者が危険なルートを歩いているのか?

しかもなぜスーツなのか?

さらに、なぜこの男はしょうがい者にもかかわらず、両手のあくリュックではなく、使い古したビジネスバックを持っているのか?

 

そう思って、私ははっとして慌てて視線を正面玄関に向けました。

すると、マスクをした対象者と思わしき男性が足早に駅に向かって行くではありませんか。

そこで、私は慌てて対象者を追って駅に向かい、再び顔を確認。

間一髪、対象者に間違いはありませんでした。

しかし、駅の出入り口に近い場所にいた代表は、まったく対象者の姿に気が付かなかったようです。

やはり、目の前の派手な格好の女に目を奪われていたせいでしょう。

私も、もしも障がい者の矛盾に気が付かなければ、、

 

ふりきった先に会われた「盲目の男」

 

その後、対象者はやはり電車内で女性と接触しました。

両者はマスクをかぶり、動きも怪しく、あまりにも警戒心が高いため、その日は代表が調査を続行することを危険と判断。

後の調査で浮気相手の自宅を割り出すこととなりました。

対象者はなぜあそこまで警戒心が高かったのか、もしかして、探偵に尾行されることをわかっていたのだろうかと疑問に思いながら、対象者を駅のホームで放尾、そのままホームで三人で集合し、今後の調査方針について話していました。

その最中です、ふと駅のホームの向こうで新聞を広げ、壁にもたれかかっている男が目に入りました。

顔は見えませんでしたが、スーツの色と、靴の種類、そして地面に置かれたバックに見覚えがありました。

そう、さっきの盲目の男とまったく同じなのです。

仮にも探偵である私は、調査中に出会った不審な人間の顔や服装を一瞬で暗記する能力がありました。

そこで、その男の横を通り過ぎ、新聞で隠れている顔を覗き見ると、やはり、その男は盲目の男で間違いなく、その両目は綺麗に見開かれ、スポーツ記事を見つめていたのです。

 

探偵を阻止した男の正体は

 

その調査は、後に退勤する不倫相手側を尾行することによって成功しましたが、調査の最中、同じような男が何度か現れては、それとなく調査の妨害を図ってきたようです。

その正体について詳しく調べることはありませんでしたが、相手は絶対に素人ではありませんでした。

私が男の顔を確認しようとした時も、男は微動だにせず、堂々と新聞を読んでいました。

素人なら、普通この段階で挙動不審になります。

私の予想では、尾行を撒く心得があり、探偵の動きを読めることから、恐らく彼らも探偵の一種だっと思っています。

ただし、合法的な探偵ではないとも感じました。

  探偵業界にも、裏と表があります。おそらく、彼らは表の探偵があまり知らない、裏側の探偵の一人だったのではと思います。