探偵業法に基づくリアルな探偵とは?調査業というサービスの成り立ちに迫る!

全国に数多くある探偵事務所ですが、その実態を知っているという方は少ないでしょう。
映画やドラマで見る探偵と現実の探偵はまったくといっていいほど違う上に、実際に探偵を雇うとなると普段は接しない仕事であるため、依頼にあたって不安を感じる方もいます。
しかし、実際に探偵事務所へ依頼をされれば、その不安が単なるイメージだったということに気付くはずです。

映画やドラマの探偵には、時に観る人の人生に大きな影響を与える力がありますが、同様に、現実の探偵にも依頼者の人生を大きく変える力があるのです。
離婚や家族の失踪、子供のいじめ、ストーカー、困りごとなど、依頼の数ほど人生の難局があり、探偵社は調査というかたちでその局面を変える援護をします。

探偵が行う調査やその他の業務、そこにある魅力を知ることで、依頼への不安が払拭され、探偵への理解が深まっていくでしょう。
まずは、探偵の根幹をなす探偵業法と成立の背景から「リアルかつシビアな探偵業」がどんなものか知っておきましょう。

 

リアルな探偵の仕事?昔と今でまったく違う探偵の姿

探偵事務所を訪れると、そこには渋めの男が1人いて、タバコを吸いながら依頼者の要件を聞いていきます。
依頼者の母親は娘の家出人捜索の依頼をしたものの、ターゲットは何らかの事件に巻き込まれた可能性が高く、探偵は調査を始めるのです。
警察からも情報を得た上で、ターゲットが立ち寄った関係機関に忍び込み、ハイテク機材を使って、すぐに失踪者の友人に当たりをつけてしまいます。
しばらくすると、その友人が闇組織の人間であるとわかった探偵は、アジトに乗り込んで、闇組織の人間と戦って失踪者を救出します。
探偵の推理力でアジトをつきとめ、ターゲットを無事確保することに成功したのです!

と、これは映画やドラマでよく見るシナリオで、これを探偵のイメージと思っている方もいるでしょう。
しかし、超ハイテク機材ですべてわかってしまい、アブナイ組織の人間と戦って事件をあっという間に解決するといったことは、現実の探偵にはまずないことなのです。

探偵が扱う業務は浮気調査が主ですが、現実では地道な情報収集から始まり、日数をかけて証拠映像をとっていきます。
ターゲットの男性を車両や徒歩で尾行して、ホテルに入れば張り込みを行い、バレないように撮影、データをもとに文書を作成、離婚か復縁かのアドバイスなどを行うのが一連の流れです。
探偵は映画やドラマの存在ではなく、どちらかというと芸能記者や警察の捜査員と似て非なる職業といえるでしょう。

国民生活センターに寄せられた探偵業者へのクレーム件数

上記は探偵業の業務の適性化に関する法律(探偵業法)ができる以前と以後に関し、国民生活センターに寄せられた探偵業へのクレーム件数です。

  • インターネットで調べた興信所に電話をかけて夫について相談をすると、明日までに戸籍謄本を取ってくるように言われたのですが断ることはできますか?
  • インターネットで探した興信所に夫の素行調査を依頼したのですが、報告書もなく「何もわからなかった」と言われました。騙されたと思うので返金してほしいです。
  • 別れた男性と復縁したくて探偵業者に身辺調査を依頼しましたが、対応が不満なので解約すると伝えたいです。業者は返金に応じないばかりか、追加の違約金が発生すると言いますが、どうしたらよいでしょうか?

実際のクレーム内容にはこのような例がありますが、規の探偵社から見れば「探偵という名称を使った悪質業者」であるのは明白です。
悪質業者ですから、名乗る屋号は何でもよく単に利用しやすい○○探偵事務所という名前を使ったということでしょう。

こうしたクレームが相次いだことから、平成19年6月1日に施行されたのが「探偵業の業務の適性化に関する法律(探偵業法)」です。
この法律は現在ある探偵社の骨格といえ、探偵の業務を法律で規定するとともに、届出制によって管轄の公安委員会が実態を把握しています。

探偵業法は、依頼者の利益を保護し、悪質業者を排除するという目的で制定されました。
探偵という仕事の背景を語る上で、この「探偵業法」は欠かせません。
過去の探偵と業法制定後の現在の探偵、依然として存在する悪質業者や素人探偵の実態などを知る事で、「本当の探偵の姿」とその業務内容が見えてくるでしょう。

探偵のすべては探偵業法にあり!依頼者が知って得する手続き?

探偵業法ができる以前は、「探偵は誰でも名乗ることができる職業」だったため、自由に調査をして料金を請求することができました。
この結果、ずさんな調査をして法外な料金をとる悪質業者があったり、調査ノウハウや機材などもなく自由な報告をする業者があったのです。

上記の表の中で、業法制定前には平均して2,000件のクレームが寄せられていることがわかりますが、制定後は一時的に減ってまた近年クレームが増加傾向にあることがわかりま
す。
正規の探偵が努力をして信頼と実績を築きあげているにも関わらず、依然として悪質業者はあとを絶ちません。
ネット環境の発達などから、おかまいなしに「探偵」という文字を記載して名乗ること、届出制だから誰でも開業でき、調査結果に伴わない料金を請求する探偵がいることがその原因といえるでしょう。
では、正しい姿の探偵とはどんなもので、依頼者とどう関わっているのか、業法に伴う例を見ていきましょう。

第二条(定義)
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

業法のとおり、探偵ができる基本業務は面接による聞き込み、尾行、張り込みなど、地道な行動ばかりです。
この作業を続けながら時間をかけてターゲットに迫り、証拠シーンを撮影するというのが基本です。
正規の探偵社はすべて基本原則に従った行動をして、そこから証拠をとるのですから、CIAやMI6のようなドラマチックな派手さはないとわかるでしょう。

第四条(探偵業の届出)
探偵業を営もうとする者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。
この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

探偵社のHPを見ると、必ずサイトのトップまたは会社概要のページに「探偵業届出証明番号」が記載されているはずです。
これは業法第四条に基づいて、正規に手続きを行って公安委員会に届出をしているという証になります。
探偵に依頼しようかな?と考えている方は、まずこの番号があるかどうかをチェックしておきましょう。

「あって当たり前」の番号ですが、近年ではスマホの普及とともにネット上では管理しきれない個人事務所や悪質業者などもあります。
正しい探偵の姿を知る第一歩はまずこの番号からです!
探偵社はきちんと公安委員会に届出を行い、警察署の生活安全部指導・監督のもと営業しているのです。

第八条(重要事項の説明等)
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
3 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律その他の法令を遵守するものであること。

個人情報の取り扱いは企業であれ個人事業であれ同じことで、正規の探偵であれば、この点についても書面を交付して依頼者に説明をしています。

第八条(重要事項の説明等)
4 第十条(探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。)に規定する事項

第十条とは、業務上で知り得た秘密を他者に漏えいしないことで、浮気調査で判明した個人情報を含む様々なことを口外したり書面やデータの漏えいをしないことを指します。

第八条(重要事項の説明等)
6 探偵業務の委託に関する事項

探偵業務の委託はよくあるケースで、大手でも人員が不足している時や、個人事務所でも提携先の探偵社に委託することがあります。
ここで提携先の業者が悪質だった!などということもあるので、正規の探偵社は本当に信頼できるところとだけ業務提携を結んでいるのです。
担当した探偵とはまったく違う人が出てきて、何か説明があやふやなどということもありますが、調査をキッチリやってくれることが業務の本筋といえます。

第八条(重要事項の説明等)
7 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期

ここが依頼者が一番気にするところでしょう。
正しい探偵なら、説明した料金とまったく違う超高額料金を請求されるようなことはしません!
知識と経験のあるスタッフなら、説明の段階で概算を出してくれ、追加調査などがあっても随時連絡をして了解を得るため、事後に知らない料金が加算されていることはありません。

第八条の二
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該依頼者に交付しなければならない。
3 探偵業に係る調査の内容、期間及び方法

探偵は夜間に張り込みをしたり、車で尾行したりと苦労やリスクを伴って懸命に調査をしています!
そこで得られた証拠は速やかに依頼者に報告しているのですが、やはり中には「ワザと調査期間を引き延ばして料金を得よう」という探偵があるのです。
これも業法制定以前、または現在では素人探偵や経営に行き詰った探偵が行う手法です。
依頼者は現在の調査の進捗状況をきちんと電話やメールなどで連絡してもらうことで、正規の探偵社との信頼関係が築けるでしょう。

第八条の二
6 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払いの時期及び方法

探偵社は契約が成立したら、料金の概算の説明をした上で「おおよそこの調査にはいくらかかる」ということを提示して、依頼者が支払う時期と支払い方法について書面の交付をします。
依頼者はその調査内容と料金に納得がいったら契約をしましょう。

以上は依頼者が探偵社と接する際に知っておいた方がいい業法上のポイントを簡単に説明したものになります。
探偵の本当の姿は、こうした業法に基づき、その範囲において正規の手続きを行って調査をする職業です。
映画やドラマとは違い、地味な仕事に見えるかもしれませんが、探偵が得た調査結果の如何によって、依頼者の人生は大きく変わることになるのです。

 

大手から個人事務所まで!全国にある探偵社の経営スタイル

イメージと現実の探偵に違いがあることはハッキリしましたが、では「探偵事務所」とはどんなところなのでしょうか?
全国に数多くある探偵事務所の規模によって調査員の数・調査項目・調査スタイル・料金までと幅広く違いが出てきます。
探偵という仕事を作るのが探偵業法だとすれば、現場スタッフや調査員を作るのが各探偵事務所といえます。

2010年~2014年までの探偵事務所の推移

グラフを見るとわかるとおり、探偵業者は年々、微妙な増加傾向にあります。
離婚率の増加とともに、ネットの発達によるSNS上でのトラブル・ストーカー問題・結婚詐欺など、刑事事件に発展するおそれのある事案が増えたことによるものと考えられます。
探偵事務所は浮気調査を基本に、こどものいじめ問題(SNS含む)やストーカー対策、企業の信用調査、結婚前調査、盗聴器発見など数多くの調査を取り扱っています。
それらの案件に対応するため、探偵事務所も一人ではなく、代表ほか複数の調査員や相談員などのスタッフを抱えて事務所を構えているのです。

平成25年度の調べでは、探偵事務所の80%は個人で、20%は法人となっています。
テレビ出演などをする探偵事務所は大手20%の中に入っていますが、事務所が大きければ大きいほど多数の人員を抱え、調査の幅が広がるといえます。
法人大手では探偵業を経営する上で、業務を各部署に分けているため、一般の企業と変わらない構図を持っています。

例えば、依頼者が浮気調査を依頼した際、受付にいる担当者が女性のスタッフだとしても、その人が調査を担当するわけではありません。
普通の企業と同じですが、受付の女性スタッフは現場には出ず、調査を専門とする自社スタッフ、または業務提携をしている探偵社のスタッフが行います。

そして、テレビ特番などでメディア出演をする際には広報部が担当し、HP更新や自社メディアを使って情報を発信したりします。
報告書作成や会計は事務職が担当するなど、大手であれば分業制となっており、一般的な会社と変わらないでしょう。
しかし、探偵事務所の80%は個人というデータから、ほとんどの探偵事務所が少人数で業務を行っているため、各業務を複数人が同時に行います。
10人未満の中規模クラスから1人だけの個人事務所まで、このスタイルで運営しているところがほとんどです。

大きな違いはメディア広告費にお金をかけたり、スクールを運営したりという点でしょう。
大手は宣伝広告費や超高額機材、特殊車両などにお金をかける余裕がありますが、80%の探偵事務所はこの費用を抑えています。
だからといって、法人と個人の事務所で調査をする内容そのものに違いがあるかといえばそうではありません。
探偵業法で紹介したとおり、探偵は基本原則に従って行動して調査結果を得るわけですから、尾行、張り込み、聞き込みを行った上で証拠を採取していきます。
大手・中規模・個人といった点で調査をする仕事内容に違いはないのです。
相談・調査・連絡・報告・アフターケアに従って、すべての探偵社が同じように業務に取り組んでいます。
機材や人員に違いはあれど、探偵社はどこも依頼内容の目的を達成するために努力しているのです。

 

まとめ

探偵とは探偵業の業務の適性化に関する法律に基づいて実地の調査を行う職業です。
イメージする映画やドラマの世界の探偵とは違い、法律の範囲内で行動する地味な仕事といえるでしょう。

探偵の骨格をなすのは探偵業法であり、この法律にのっとった手続きをしているかは探偵を判断し理解する大きなポイントとなります。
全国には大手・中規模・個人事務所と様々な探偵事務所がありますが、調査をする目的や調査の過程に大きな違いはないといえます。

年々上昇する離婚率とともに、刑事事件に絡むようなトラブルも増加し、探偵の業務の幅も広がってきています。
こうした背景をもとに探偵事務所は成り立ち、調査員やスタッフは依頼の目的を達成するために日々奮闘しているのです。