探偵に推理力は必要か?

はっきりといって、探偵にはフィクションの世界の様な「圧倒的な推理力」なんてものは必要ではありません。

探偵業で大切なのは「推理」をすることではなく、いち早く「証拠」を見つけることにあります。

証拠をいち早く見つけるには、推理力よりも結局は「努力」が大切にされます。手元にある情報をもとに推理をするよりも、いち早く多くの証拠を集める能力が優先されるのです。

探偵には「地道さ」が必要

誰よりも早く証拠を見つけるためには、手元にある情報を元に地道に調査を続けていくしかありません。

例えば、幾ら推理力のある人間といっても「○○市内にいるコーギーを飼っている30代の女性」という情報だけでは、その人物が何処に住んでいるのか探し出すことはできません。推理をしようにも、現実では「本や物語を見るだけで証拠がそろう」ことはありえないのです。

だからこそ、探偵には推理力よりも地道さや根気が求められます。上記のような情報からでも各自に情報を得るために、○○市内に住むコーギーを飼っている人物のリストを作り上げます。そのために丸一日かかったら、次は何日もかけ、市内に住むコーギーを飼っている30代の女性に対して聞き込みを行います。

こうした作業は、人によっては苦痛以外何者もありません。

しかし、少ない情報から事実を突き止めるには天才的な推理力よりも、地道にコツコツと情報を集める能力の方が役立つのです。

探偵に「根気」こそが命!

「根性論」は、この時代ではすでに死語となりつつありますが、探偵の世界においては、まだまだ「根性」や「根気」が大切にされています。

昔に比べればまだマシになったとはいえ、探偵業はまだまだヒューマンパワーを必要とする業界です。

例えば張り込みの場合、探偵は今でも昔と変わらない古典的な方法で張り込みをしています。ある一点から建物出入り口が見える場所を確保したら、そのまま移動せず、何時間にも渡って同じ場所を監視し続けなければなりません。

カメラによる監視も同じです。録画の場合は、撮影した動画を全て自分の目でチェックしてストーカー犯などの不審人物が出入りしていないか確認します。リアルタイム映像の場合、調査用のバンの中でひたすらモニターを見続ける作業が続きます。

映画では、対人認識システム(人の顔を判別するシステム)が現場に導入されていりハイテクな張り込み風景を見ることもあるでしょう。しかし、そんな張り込みはまだまだ遠い未来の話で。先進国のスパイですら使えるわけではありません。

監視活動というの、何かすごい機器を使って行うイメージがあるかもしれませんが、実際には人間の目だけを頼りに行っています。さらに何時間も同じ風景や画面を見続けるため、やはり探偵にとって「根気」は欠かせない要素と言えます。

推理よりも人間力が大切?

探偵に必要な要素として多くの探偵が「人間力」という言葉を上げています。

人間力というと、なかなか具体性の無い言葉ですよね。しかし、その具体性の無さこそ探偵には必要不可欠な要素です。

探偵の仕事の中でも「聞き込み」という作業は、社内でもベテラン探偵が担当する暗黙のルールがあります。反対に、若い調査員は尾行や張り込みに回されます。

その理由は体力的な問題もありますが、一番はベテラン探偵の「人間力」の高さゆえです。

探偵が行う聞き込みは、探偵が対象者にいかに信用されるかが重要なポイントとなります。この時、若い人間であっても信用されますが、言動に不安定さがあり、相手の心理を読むことが出来なかったりするため、聞き込みに失敗することも少なくありません。

一方、経験豊富なベテラン探偵は調査以外にも様々な経験をしています。その経験は確実に話し方や立ちふるいまい、そして顔つきなどにも出てきます。

人間としての経験が豊富であれば、相手からの信用も得られやすくなります。すると、聞き込みで得られる情報量や精度が格段に上がるため、聞き込みはベテラン探偵が担当することが多いのです。

また、この能力は依頼者とのコミュニケーションにも生かされます。探偵というのは社会的イメージが悪く、なおかつ料金も高いため、依頼者が担当者に抱く警戒心は他業種の比ではありません。

常に他人から信頼を得なくてはならない探偵は、高い人間性を備えていなくてはならないのです。

好奇心こそが全て?

最後に、探偵に最も必要な能力として挙げるのは、類まれない「好奇心」です。

好奇心は探偵業では決して欠かせません。そして、探偵として長く活動している人間であればあるほどう、生まれついて人一倍強い好奇心を持っています。

探偵にとっての好奇心とは「原動力」に置き換えられるかもしれません。調査は楽ではありません。セオリーが通用しないことが殆どであり、そのつど目的の証拠にたどり着くまでのルートが変更される迷路のようなものです。

そんな調査を乗り切るには、人間の好奇心は絶対に欠かせません。事実に対する強い好奇心は、そこにたどり着くためのルートを探し出すモチベーションを生みます。

調査に行き詰っても「なら違う方法をためそう!」とすぐに気持ちを切り替えて挑み続ける能力はを養うことは、すなわち人間の好奇心を養うことでもあるのです。

また、好奇心は探偵に必要な柔軟な姿勢を生み出します。事実のみをおうべき探偵は、自らの推測や仮説ばかりに目を向けすぎると、いつまでたっても事実にたどり着かないばかりか、最悪の場合は誤った事実を依頼者に報告してしまいます。

しかし、強い好奇心のある人間は探求を辞めることはありません。仮に目の前に証拠が出てきたとしても「本当にこれは正しいのか?」と裏を取り、さらに深い場所にある事実を求めるながら調査を進めます。そんな能力は努力だけではどうにもなりません。強い好奇心とは、特殊な人間にしか備わっていない才能です。

まとめ

探偵という仕事には可憐な推理は必要ではありません。

かといって、誰でも探偵になれる訳ではなく、根気や好奇心など、まるで研究者の様な地道な努力を行う能力が求められているのです。