探偵と警察はどう違うの?探偵業の不思議とは

探偵業というのは、世間一般のイメージだと色々な調査を行い、隠された秘密を嗅ぎまわり、暴き出す職業かもしれません。

ただ、こうした業務と非常に似た特質を持つのが、この国の安全を守る「警察」と職務内容です。

また、職業上でも警察と探偵は時折協力して同じ事案に挑む場合もあるので、その関係はかなり密接なものかもしれません。

それでは、探偵と警察には一体どんな違いがあるのか?

その違いについて一緒に見ていきましょう。

警察は「市民のために」探偵は「依頼者」のために

まず一番の違いとして挙げられるのが、警察が日本国内の治安を守るために活動している点と、探偵が依頼者という一個人、もしくは一組織やグループの為に活動する点です。

そのため、警察は市民の安全を第一に目指して日々の業務に当たります。仕事の内容も捜査ばかりでなく、警邏(パトロール)に警備活動と幅が広く、そのための専門職員や階級が多数存在しているので、探偵に比べればその規模はけた違いです。

一方探偵の場合、調査活動は市民のために行うものでは無く、お金を払ってくれた依頼者のために行う商業主義が基本です。

ボランティアで調査を行ってくれる場合もありますが、あくまで例外的行為ですし、一応会社ですから営業を行うのも難しいです。(ただ、警察もボランティアではありません。皆さんの税金があるからこそ、警察も活動できています)

また、探偵全体の人数を合わせても、警察官の総数にはとても及びません。マンパワーを比べてみれば、警察の方が圧倒的に力があります。

警察は「刑事事件」を、探偵は「民事事件」を調査する

警察と探偵では、調べられる範囲も大きく変わってきます。

警察が捜査するのは、民事ではなく刑事事件となります。

刑事事件とは、窃盗や生涯、器物破損、詐欺などを代表とする犯罪を指す言葉であり、この捜査を専任されているのが警察官と検察官となります。

ただ、探偵も刑事事件の調査はできます(というより、日本国民の全てに調査を行う権利はあります)。

ですが、犯人の逮捕や家宅捜索など、犯罪者を捕まえるために必要な捜査は警察と検察にしか許されていないので、探偵だけでは到底太刀打ちできない訳です。

また、危険な犯罪者と対峙した場合には探偵はあまり役に立ちません、もしも相手が拳銃を持っていたら、拳銃所持はおろか、警棒の携帯(業務を行うために持ち歩く)ことすら許されていない探偵では、いざという時には警察にお任せするしかありません。

 

一方、こんな警察が唯一踏み込めない違法行為があります。

それが「民事法」と言われる法律の分類であり、その法律に違反したからといって、警察はその権力を行使できません。

民事法とは、私的一般のトラブル全般を指す言葉で、浮気(不貞行為)や金銭トラブル、または隣人トラブルなどが有名かもしれません。

この法律に違反したからと言って犯罪者になる訳ではありませんが、民事法には紛争トラブルを解決するための様々な方法が定められています。

探偵に依頼される方が最も身近な民事法は「不貞行為」です。

そして、浮気調査の結果、慰謝料請求ができたり、離婚が出来るのもすべて民事法に定められた離婚事由の一つである「不貞行為」(配偶者以外との複数回に渡る性行為)の条件を満たせたからに過ぎません。

ただ、この調査はやはり警察が行ってくれないので、多くの方は探偵事務所にお金を払って依頼し、不貞行為を立証するための調査を行わなくてはなりません。

調査の方法が限定されているのが「探偵」、場合によっては盗聴も可能なのが「警察」

探偵は人知れず調査を行うプロ集団ではありますが、その調査方法は法律でしっかりと決められています。

探偵業法によれば、探偵が調査を許されているのは「尾行」「張り込み」「聞き込み」を主体とした方法のみです。

しかし、これら調査でも、一般の法律を無視することは許されません。道路の速度は守り、張り込み場所を間違えて住居不法侵入を侵さないようにしたり、情報を得るために不正な手段を取ることも許されてはいません。

 

しかし、警察はその状況によって、例外的に一般的な法律を逸脱する行為が許されています。

例えば代表的なのが「盗聴器」を使用した捜査です。

警察の捜査に関する法律が定められる前は、警察内部で乱用され問題となった盗聴器ですが、法律が整った現在でも、裁判所の許可さえあれば盗聴器を使用した調査が許されています。

また、皆さんご存知の通り、警察は犯罪者を追跡する場合に速度オーバーをしても違反にはなりません。また、そうでなくとも赤橙(パトランプ)を点灯していれば、速度超過で走行しても問題とならないケースが多いです。

つまり、警察には国の後ろ盾がありますが、探偵は一般人とほぼ変わらないのです。

探偵は殺人事件は解決できない?

上記の文章を読んで頂ければ、フィクションの様に探偵が殺人事件を解決できないのは当たり前ですよね?

もちろん、依頼されるのは構わないのですが、一般人と変わらない探偵に出来る調査では犯人を捕まえられる確率は低いでしょう。

また、いざ捕まえるとなっても、現行犯逮捕以外では犯人を捕まえられません。こういうときは探偵ではなく、警察に頼んだ方が間違いないでしょう。

民事事件なら探偵におまかせ?

刑事事件にはまったく不向きな探偵ですが、これが民事事件となれば警察以上の力を発揮します。

特に浮気問題の解決は、探偵が最も得意とする所です。不貞行為の証拠の収集に関しては専売特許と言っても過言ではないので、是非とも探偵を頼ってください。

ただ、浮気問題の法的解決は弁護士に相談しましょう。探偵は法律の知識はあっても、示談交渉を行う事はできませんし、やはり専門家の法が知識も経験も上です。

まとめ

警察と探偵は非常に似た部分もありますが、根本的に大きな違いがあるので、自分が抱えてしまったトラブルの種類によっては探偵のみが必要だったり、探偵のみが必要な場合があります。

また、行方調査や犯罪調査の場合は、警察と探偵の両方を頼る必要があるかもしれませんので、トラブルを甘く見ずに行動しましょう。

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