探偵というと、みなさん様々な服装をイメージされるかと思います。
例えば、ハンティング帽子にコート姿、さらに中にはダーク系のスーツに革靴。さらにパイプをくわえている姿は、恐らく探偵というフレーズにもっともしっくりくる姿かもしれません。
このファッションは、コナンドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズが着ていた服装です。この姿は、後にフィクションの世界でも、現実の探偵業界にも大きな影響を与え、今では多くの人が探偵といえばこの服装を連想するようになりました。
さて、それでは実際の探偵は一体どんなものなのか?
今回は、探偵とファッションの問題について見て行くことにしましょう。
探偵の服装=?
探偵の服装についてのイメージは、先に例に挙げたシャーロック・ホームズの例以外には様々な連想が可能です。
例えば代表的な、探偵がスーツを着ている姿ではないでしょうか。そこにトレンチコートを着ている姿は、ハードボイルドな小説の世界で描かれている探偵かもしれません。はたまた、蝶ネクタイに紺色のジャケット、そして短パンにスニーカー姿の眼鏡の探偵・・・これは日本人なら誰もが知っている探偵アニメ「名探偵コナン」の服装ですね。
こうして様々な探偵の姿が皆さんの知っているアニメや小説、漫画の中で描かれているのは、実は本物の探偵こそ、様々なバリエーションに富んだ服装をしているからなのです。
探偵の服装は実は自由
現在、探偵業界では他業種の様な制服というものはありません。もちろん、ビジネスとして探偵をしている訳ですから、表舞台に出来る時は当然マナーを守り、オフィシャルなスーツを着こんで皆さんの前に姿を現すでしょう。
ですが、実際に現場で調査をしている最中から、会社で仕事をしている時まで、探偵にはこれといって決まった服装は定められていません。
それはつい最近ということでもなく、遥か昔から、探偵には制服や正式な服装というものが無く、比較的自由なファッションであったからなのです。
探偵のファッションは適所適材
探偵にファッションルールがあるとすれば、それは「その場所に適応しているか」ということしかありません。
探偵の仕事場はその都度変化します。前日の調査はオフィス街だったのが、その翌日には田舎の山間部に変わり、その次の日には海辺の砂浜、さらに翌日には夜の飲食街と、とにかく目まぐるしく変化していきます。
さらにその中で、探偵はその場所に溶け込み、周囲に怪しまれないようにしなくてはなりません。特に徒歩で尾行や張り込みを行う人間は対象者に姿を見られやすいので、必ず調査を行う場所に適した服装を心がけ、なおかつ、身だしなみも状況に応じて変化させなければならないのです。
となると、当然服装に一定のルールがあってはなりません。むしろルールを消し、調査員が状況に常に対応しながら服装を変化させなければ、とても調査を安全に行うことは出来ないのです。
あえて制服を着用することも
探偵は周囲の状況に溶け込むために、あえて他業種の制服を着ることもあります。
使用する制服は様々ですが、公務員や警備員など、制服を偽造することで法を冒すような制服は着用しません。民間人が仕事で着用するものの、その業種を詳しく特定することが難しいものが多く、主に作業着などが使用されます。
作業着を着用している時には、大抵車なども作業車を使用します。電気工事や土木工事を装って張り込みを使用する探偵が多いかもしれません。
社内でも服装は自由
現場では服装は自由なのはお分かり頂けましたが、実は探偵事務所の中でも服装が自由な会社が多いです。
調査があるので着替える必要がない
探偵の多くは日々調査に追われており、一日中会社や事務所にいることは少ないです。
また、その日は会社に居るとしても、急に調査が入ってきて、そのまま調査に向かうこともあります。
スーツを着用するケース
その日調査が無かった場合、スーツでの出勤が定められている会社もあります。
スーツは比較的目立たず、調査にも邪魔になりません。会社の中も身が引き締まるほか、礼節を重んじることも可能なので、スーツを着用する会社も多いのではないでしょうか。
探偵は地味になおかつ好印象を
探偵の理想とされるのは、地味に、なおかつ好印象を与える服装だと言われています。
探偵はただ地味な恰好をすれば良いという訳ではありません。例えば黒系の地味な服を着ていたとしても、着用方法がだらしないと、相手から不審に思われるでしょう。また、ジャケットやスーツを身に着けていたとしても、その恰好が雑だと、不審に思われる確率が上がります。
そんな理由から、探偵は人一倍身だしなみを気を付けなくてはいけません。調査中は走ったり激しい動きをすることもありますが、その度に髪の乱れや汗などを拭き、周囲から悪い印象を持たれるようなことがあってはなりません。
かといって目立ってもならないのが探偵の厳しい所です。
灰色の小さな男
探偵が理想とするファッションは「リトル・グレイマン(灰色の小さな男)」を理想としています。
リトル・グレイマンとはスパイを指す隠語であり、優秀なスパイを指す言葉としても使われています。
灰色の小さな男は、実はこの社会にとても沢山います。白でも黒でもなく、曖昧で、さらに慎重は高くなく、かといって驚くほど低い訳でもない。さらに明るく周囲に好かれるようなタイプでもなく、居たことを誰もが忘れてしまうような人物。そんな人物は、会社や学校や町中など、どこかに必ず一人はいるはずです。
そして、探偵はリトル・グレイマンを意識したファッションを心がけるのが仕事です。
仕事で使う服は高級メーカーを絶対に避け、なおかつあまりにも粗雑な商品を避けます。具体的にいえば、世の中の多くの中間階層が身に着けているような服を好むので、全国にチェーン展開しているようなアパレル店で、少し高めの服を買う位が最も目立ちません。
靴もおなじく、目立ちすぎず、粗雑すぎない商品を選びます。色は黒・白・茶ですが、なかでも灰色は目立ちすぎず、暗すぎず、ほどよく地味な印象を相手に与えます。
探偵はファッションに人一倍気を付ける生き物ですが、気にする部分は通常のファッションとは真逆の部分なのです。
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