最近、インターネット上で一旦は鳴りを潜めていた復讐代行業者が次第にその動きを活発化させてきています。
また、これらの業者の危険性について、あまり多くの方が知らないのも問題です。復讐代行業者の中には、なぜか探偵を名乗る人物までいるため、探偵業界としてもかなり頭の痛い問題なのです。
そこで、今回は依頼者達をまどわす復讐代行業者の実態について詳しく迫ってみたいと思います。
復讐代行業者とは?
復讐代行業者とは、依頼者の代わりに業者が復讐を果たすことで利益を得る人々の事です。
復讐代行業者は、自社のウェブサイトから集客を得ています。依頼方法もメールでのやりとりがメインで、実際に会って面談を行うことも、電話を使って相談をすることもありません。
普通に考えれば、そんな怪しい業者に依頼をする人は居ないでしょう。しかし、一度でも復讐心にかられてしまった人間は、そんな当たり前の判断力すら簡単に失ってしまうのです。
復讐代行業者に依頼する人々
復讐代行業者に依頼する人々は様々ですが、中でも多いのが男女のトラブルに関係する復讐の依頼です。
渡したかつて所属していた探偵社にも、復讐代行業者に依頼をした経験を持つという人が相談に訪れた事があります。
相談に訪れたのは30代の女性でした。仕事は団体職員で、経歴も至って一般的。見るからに真面目そうな方で、とても復讐代行業者に依頼するようなタイプには見えませんでした。
彼女が復讐代行業者に依頼してしまった理由は、かつて交際していた男性の二股でした。男性と彼女は3年程交際していましたが、最終的には彼の二股が発覚。
あと一歩で結婚という所であった為、彼女は男性に浮気相手と別れる様に詰め寄りました。しかし、その男性は浮気相手を選んでしまい、無慈悲にも彼女との関係を一方的に解消してしまったそうなのです。
この出来事に激怒した彼女は一度は彼を忘れ、新たな生活を踏み出そうとしました。しかし、そう簡単に裏切られた記憶は消せず、気が付けばインターネット上に彼の恨みを書き連ねる程になっていたそうです。
そんな中、ふとインターネット上で復讐代行業者のホームページを見つけました。(恐らく、自らの手で復讐代行業者を検索したのでしょうが)そこでつい魔が差し手しまい、復讐の依頼をメールで送ってしまったそうなのです。
しかし、その結果起きたのは、復讐代行業者からのいやがらせや脅迫でした。
復讐代行業者の主な収入は「依頼者への脅迫」
復讐代行業者に依頼をして、実際に復讐が行われたケースもあります。
しかし、復讐代行業者の主な収入源となっているのは、復讐による報酬ではなく、依頼者への脅迫なのです。
脅迫の方法は至ってシンプルです。
まず、業者へ相談した人物に対して法外な費用を請求しました。その金額は100万円以上は当たり前で、中には5000万円もの費用を請求された人も居ます。
その費用を見て依頼を断ろうとすると、今度は相手から次ぎとメールが送られてきます。メールの内容は、はじめは相談内容に対する問い合わせですが、次第に依頼をするのかどうかハッキリして欲しいという内容に変わりはじめ、最終的には「復讐を依頼した事実を公表されたくなければ金を払え」といった依頼者への脅迫に変わります。
それでは、実際に依頼をしたらどうなるのでしょうか?
実際に復讐が行われる事は殆ど無い
復讐代行の金額は、通常では考えられないほど高額です。
しかし、その依頼金額をクリアして、本当に復讐を依頼してしまい人も中にはいます。(復讐代行の依頼もさまざまで、中には嫌がらせメールを送るだけで数万円というプランも存在します)
しかし、その結果本当に復讐が実行されたケースは殆どありません。当然です。彼らの目的は初めから詐欺なのですから。
復讐代行詐欺が成立してしまうのは、依頼者が泣き寝入りをせざるを得ないからです。自分が復讐を依頼してお金をだまし取られた事実を警察に相談したら、それだけで世間体が悪くなってしまいます。
また、事件が大事になれば、ニュースなどに取り上げられてしまうかもしれません。そうなれば、社会的制裁を食らってしまうのは自分……となれば。100万円以下の金額なら、だれもが泣き寝入りしてしまうでしょう。
それに、この手の詐欺犯が逮捕されることは殆どありません。詐欺を働いた証拠が見つからない様に海外サバーを経由して依頼者と連絡を取り合っていたり、金額の振込先を架空の名義にしている事が多いからです。
復讐代行サイトは違法ではない?
インターネット上で復讐代行を名乗るサイトが連立しているのは、サイトを立ち上げることに違法性が認められないからです。
意外とも思えるでしょうが、これが現在のインターネットの世界です。ネットが普及してからすでに十数年が経過していますが、いまだにインターネット上の治安は悪く、数々の復讐代行業者が乱立しています。
また、彼らの中には依頼者からの信用を得るために探偵を名乗る人物もいます。そのサイトを見てみると、なぜか偽造されたと思われる探偵業の届け出番号と、公安委員会から交付されたという届け出書が写真付きで載せられていました。
探偵業界としては大迷惑な話ですが、かといって彼らがウェブサイトを立ち上げることを現行の法律で止めることは出来ません。消されても消されても出てくるモグラの様に、今後もネット上に復讐代行の文字が消えることは無いでしょう。
まとめ
復讐代行を名乗る人間たちの暗躍はいまだ続いています。
また、彼らの被害にあったものの、警察には訴え出れず、探偵に相談に来られる方もいます。しかし、探偵としてもこの相談に答えることは難しいです。
一番良いのは、やはり復讐代行業者などに依頼しない事でしょう。恨みを募らせてしまうのは分かりますが、本当に復讐に出てしまっては、今度は自分の幸せまで台無しにしてしまいます。
人生の中で本当に大切なのは、相手の人生を貶めることではなく、自分だけの幸せをつかむことにあります。特に男女トラブルで恨みを抱いているかたは、かつての恋人のことなど早めに忘れ、新しいパートナーとの出会いに掛けてください。
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