離婚後に親権を持つことが多いのは、子育ての能力に優れた女性である事が多いのです。
しかし、子育てに時間を割きながら働くとなれば、やはり生活費の問題で苦労することが多くなると思います。
そんな苦労を軽減するためにも、日本では親権をもった側が、親権を持たない側に対して養育費を支払ってもらう権利を持っているのです。
ただ、離婚問題に直面した時「養育費について良く分からない」「本当に支払ってもらえるのか?」といった不安感があるため、本来であれば離婚が必要な状況でも離婚を躊躇ってしまう人が居るのも現実です。
そこで、今回は離婚後の養育費に関する疑問を紐解きつつ、いかにして養育費を多くもらうのかについても詳しく解説させて頂きたいと思います。
養育費とは
養育費とは、未成年の子供がいる家庭が離婚した場合に発生する子育てのための義務です。
養育費を支払うのは親権を有していない「非監護者」となりますが、親権と監護権を両親で分担する場合もあるので、その限りではありません。
養育費の内訳は、子供を育て教育するために必要な金額です。
その水準は、支払いを行う側と同程度の教育水準を受けさせるのに必要な金額と定められているので、大学を卒業した人間は、子供の大学費用を、中卒の親の場合は最低限中学校を卒業するのに必要なお金を支払う必要があります。
また、教育ばかりでなく生活水準も同程度のものが求められるので、収入が多ければ多いほど支払われる養育費の量も増えます。
養育費の金額
養育の金額は、主に相手側の収入と負担能力によって変動します。
詳しい算定方法には「養育費算定表」を用いることが多く、この部分については法律の専門家に詳しく聞いた方が良いでしょう。
養育費の計算方法
基礎収入を決定する
養育費をもらう側(利権者)と、養育費を支払う側(義務者)の基礎収入を算出します。
基礎収入は、年収から税金、家賃などの住居費用、医療、仕事の経費などを差し引いた金額となります。
最低生活費用の決定と負担能力の有無の確認
利権者、義務者、子供の生活を最低限保障するための金額を決定します。
もしもこのとき決定された最低生活費用よりも、義務者の基礎収入が下回る場合には、養育費の支払い義務が発生しません。
子供の生活費の認定、義務者の負担額の決定
子供の生活費が決定すれば、その生活費を利権者と義務者がどのように負担していくのかが決定されます。
養育費の相場は?
月々の養育費は子供の数や人数によって変わりますが、主に5万円前後の金額をもらっている人が多い様です。
ちなみに、平成22年度の司法統計によれば、養育費は子供1人の場合でこの様な内訳となっています。
【子供が1人の場合】
- 1万円以下:6%
- 2万円以下:18%
- 4万円以下:45%
- 6万円以下:20%
- 8万円以下:5%
- 10万円以下:3%
- 10万円超え:3%
(出展:平成22年度司法統計)
養育費の金額は変更できる?
一度計算された養育の金額を変えることは簡単ではありませんが、条件次第によっては金額の変更が可能な場合があります。
受けさせたい教育水準が高い場合
効率の高校や大学ではなく、私立の高校や大学に通わせたいと考えている場合、その費用についての話し合いを権利者と義務者の間でしっかりと行い、義務者が高い教育を子供に受けさせる事に同意が得られれば養育費の金額を高く設定することも可能になります。
権利者が結婚した場合
義務者から養育費をもらっていた権利者が結婚をした場合は、子供の扶養義務が新たな配偶者に移るため、養育費が無くなる、もしくは大きく減額することが考えられます。
義務者が結婚し、新しい子供が生まれた場合
義務者が結婚し、新たな子供が生まれた場合、その子供の養育費のためにも資産を割く必要があるため、養育費の減額が可能なります。
義務者、権利者共に事情により働けなくなる、もしくは収入が減った場合
義務者が事故や疾病によって働く事が出来なくなり、支払いによって最低限の生活水準を下回る場合には養育費を支払う必要はありません。
また、仕事を辞めるなどして収入が下がってしまった場合にも、やはり養育費の減額が認められる場合がります。
権利者が病気や事故などで働けなくなった場合、義務者が養育費を大きく負担する場合もあります。
子供が病気になったり障害が発生した
子供が大病にかかるなどして、その治療費が必要になった場合にも、養育費の支払い額を増やすことが可能となります。
ただ、いずれにしても一度決定した養育費を覆す事は簡単な事ではありません。
特に養育費の支払いを拒むために、義務者が養育費の減額を申し出てきた場合には、収入をあえて低く申告する人も要るので、収入が確かにその金額なのか確かめる必要があります。
養育費の支払いを拒まれた時には?
養育費の支払いを拒まれたり、こちらから支払いの要求を行っても無視される場合には家庭裁判所からの履行勧告および履行命令を出してもらう事が可能です。
この勧告によっても養育費が支払われない場合には、強制執行を最終的に行うこととなります。
強制執行とは、相手の給与などを差し押さえることにより支払いを強制的に行う方法です。ただ、強制執行によって差し押さえられる金額は給与の2分の1までとなっているので注意しましょう。
養育費の支払いは正常に行われる事が少ない
養育費の支払いは、子供の教育に関わる大切な権利です。
しかしながら、日本の養育費の支払いに関する現状は悪く、支払いが滞る事はあたりまえで、支払いを拒んだり、無視をする人も大変多いです。
この様な状況故に、養育費の金額や支払に関する取り決めは大変重要です。
もしも養育費に関して不安を感じるなら、弁護士に相談する様にしましょう。
また、養育費の支払いが行われず、本人とも連絡が付かない状況であれば、探偵社に依頼し、本人の住所や連絡先について調査を行うのも一つの方法です。
ただ、本来であれば、そんな事をしなくとも支払ってもらうのが一番ですよね。
お金の事となると、自分の子供に対しても不誠実になる人間が多いのはとても残念ですが、これも現実としてとらえましょう。
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