配偶者との協議の結果、離婚が合意に至らない場合、夫婦関係が破綻した理由が以下の条件を満たしていれば離婚が出来ます。
- 不貞行為がある
- 結婚生活の義務を悪意によって遺棄した(悪意の遺棄)
- 一方の配偶者、もしくは双方が重度の精神疾患となり、夫婦生活が送れなくなった場合
- 生死不明の状態が3年以上継続した場合
- その他の結婚生活をおくる事が難しい離婚理由
ただ、これらの理由によって結婚生活が破綻したことを証明しないと離婚は成立しないので注意が必要です。
それでは、具体的にどういった場合に証明が可能か、解説していきたいと思います。
この記事の内容
離婚事由1『不貞行為』
不貞行為とは配偶者以外の異性と複数回性行為を行う事で、一般的な浮気や不倫と刺す法律用語だと思って良いでしょう。
ただ、不貞行為には心の浮気などは一切無く、他の異性との肉体関係のみとなっています。
この時、一度限りの性行為では認めらません。
一度だけの性行為の場合、強姦や準強姦、もしくは一時的な心の迷いである可能性があります。
過去の判例を見ても、一度限りの性行為で不貞行為と認められた例は皆無。
一度の肉体関係ならば、離婚をするまでの理由では無いと裁判官が判断する傾向にあります。
立証方法
不貞行為を立証するためには、不貞行為(他の異性との性行為)そのものを映像や音声証拠として残す必要はありません。
基本的にはラブホテルや浮気相手宅に入った後、2~3時間以上が経過した様子を映像証拠として残せば、不貞行為が行われたと推測できます。
また、メールの文面、友人の証言、本人の自白なども不貞行為を立証する証拠となりえます。
離婚事由2『悪意の遺棄』
悪意の遺棄とは、結婚生活を送る上で夫婦が果たすべき義務を悪意(怠慢、攻撃、利益保持のため)によって遺棄した場合を指します。
悪意の遺棄に該当する例として知られているのは、収入を殆ど家庭に入れない夫です。
この場合、収入がもともと少なかったり、病気や事故などによって働けなくなった場合には悪意の遺棄に当たる事はありません。
しかし、十分な収入があるにも関わらず家庭に生活費を入れない。子供の養育のお金を払わない。収入の大半を趣味で散在するなどの行為が有る場合、その大半は悪意の遺棄によって
離婚事由3『強度の精神疾患による離婚』
精神疾患によって正常な夫婦生活が行えなくなった場合は離婚が出来る可能性があります。
婚姻関係にある配偶者同士は、お互いに助け合い(扶助)、結婚生活を営みます。
しかし、それが疾病によって行えなくなってしまった場合、夫婦の一方がその義務を果たせず、夫婦生活共倒れとなってしまう可能性があります。
そこで法律では、重度の精神疾患に掛った場合に離婚をする権利を与えています。
ただ、精神疾患での離婚では、必ず疾病者が離婚したあとの生活が保障された状態でなければ離婚が認められません。
また、離婚請求を行う側が社会的に非を追う理由が無く、精神疾病を患った相手が離婚したのちの生活が保障されなければなりません。
また、アルコールや薬物依存といった症状は回復の見込みがあり、更生の余地があるため離婚請求が認められない場合があります。
離婚事由4『3年以上生死不明の状態が続く』
3年以上生死不明の状態が続いた場合、その人物と離婚をして新たに別の相手と結婚する事ができます。
3年以上の生死不明が継続する状況とは、行方不明になったと思われる日から3年以上が経過している事。連絡がまったく取れず、生きて居るのか死んでいるのか判断が出来ない状態を指します。
その代表例としては、地震や津波などの災害に巻き込まれて行方不明となっている人物との離婚です。
一般的な理想では、もしも自分の夫や妻が行方不明になった場合、その人物が帰って来るまで待っているべきだと考えている人もいるでしょう。
しかし、それはただの理想論であり、映画やフィクションの見過ぎとしか言いようがありません。
災害で夫が行方不明となった妻が、子供を育てるためには働かなくてはならないでしょうが、それも一人では長く続きません。
一年でも早く新しいパートナーを見つけて生活を安定させて子育てを行いたいのに、夫が行方不明になったせいで出来ないなんてあまりにも理不尽でしょう?
だからこそ、この日本では生死不明の行方不明者に対してだけは3年以上での離婚を認めているのです。
しかし、もしも連絡が取れたり、どこかで生活している様子があればアウト。生死不明の行方不明=死亡している可能性が高い人物のみが対象なので、それ以外の行方不明では離婚請求が通る事は絶対にありません。
離婚事由5『結婚生活を継続しがたいその他の理由』
結婚生活を継続しがたいその他の理由とは、簡単に言ってしまえば上記の3つに当てはまらない問題で、離婚をしなければ夫婦の生活著しく破壊される様な状況である事が条件となっています。
この離婚事由に該当するのトラブルは本当に山の様にあります。
代表的なのは『性格の不一致』というもの。
日本人の離婚原因の№1に毎年入っているこの理由も、離婚事由は「その他の重大な事由」に分類されます。
また、テレビのニュースなどを騒がすDV(ドメスティック・バイオレンス)やモラル・ハラスメントなども、離婚を行う時には「その他の重大な事由」に分類されます。
- 宗教の不一致
- セックスレス
- 配偶者の一方的な浪費
- 肉親、親族とのトラブル(姑問題など)
- 育児放棄
- 妻、夫のマザコン等
- 共働きなどで育児に関わらない場合
また、これ以外にも多くの理由で離婚を行う事ができますが、夫婦関係が破綻して居ることと、原因が何であるかをキチンと証明しなくてはなりません。
離婚事由の証明を行わなくてはならない。
これら全ての離婚事由によって、夫婦は離婚を行う事ができます。
また「性格の不一致」といった問題でも離婚が出来るように、人は夫婦関係すら破綻すれば離婚出来ると考えても良いのかもしれません。
コメント