どうなるストーカー規制法改訂?新法案の影に潜む問題点とは?

2016年12月に国会で成立したストーカー規制法改正案。

これにより、2017年には新たな規制法が導入されることになります。

ところが、今回の新たな規制法が可決されたことで同様が広がっているのも事実です。

これまで何度も改訂しているストーカー規制法ですが、司法関係者や警察、弁護士、それとはまったく関係の無かったはずの人々にすら困惑の色が広まりつつあるのは初のことです。

特に問題視されているのが、ストーカー規制法違反の非親告化です。

SNSやブログなどで行われるつきまといも規制法の対象となったニュースなどで隠れがちですが、専門家達がもっとも危惧しているのは、警察が独自の判断でストーカー加害者を検挙できてしまう部分にあるようです。そこで、今回は新たに成立したストーカー規制法で一番のネックとなっている『非親告罪による悪影響』についても考えてみたいと思います。

ストーカー事件の判断は難しい

 

ストーカー事件というのは、第三者からの目から見ても、本当に事件として扱うべきなのか?つい判断に迷うものが多いことで知られています。

そんな事件を、今度は警察が被害者からの親告なしに独自に捜査し、検挙することが可能となると、あらぬ誤解を受けた加害者が作られる可能性も十分に出てきました。

 

ストーカー相談の多くは男女トラブル

ストーカー相談の多くは、被害者が恐怖心や不安を感じて行うことですが、その全てがそうではありません。

なぜなら、ストーカー事件の半数は男女の間の恋愛トラブルであり、被害者が加害者と再びよりを戻すこともあるからです。

交際していたカップルが別れる時、両者はまず間違いなく冷静な状態ではありません。

別れを切り出したほうは、ただパートナーに飽きたのか、別の異性が出来たのか、それともパートナーに酷い目にあったのか、理由はあまりにも多岐に渡りますが、そんな時は大抵心が揺れ動いており、普段とは明らかに違う精神状態にあります。

一方、別れを切り出された側はさらに冷静ではありません。

なんとかしてパートナーとよりを戻したいと考えるでしょうし、そのためには連絡を何とかして取り付けようと考えるでしょう。

この反応は、人間としてはごく自然なものです。

別れを切り出されたら、即座にフられた側も諦めるほど、システマティックな恋愛など誰も出来ないからです。

 

法的には「ストーカー」に当てはまる相手でも、再び交際することがある

どちらか一方から別れを切り出されたら、本当に相手のことを好きだった人間ほどストーカーに走りやすく、なんとかして相手を自分のもとに取り戻したいと思い、相手のSNSを見てしまったり、コメントを送ってしまう、電話をしてしまうでしょう。

ただ、これらの行動はストーカー規制法該当します。

該当しない理由は、元交際相手が警察に相談しないだけでしかありません。

もし相手の行動が目に余り、恐怖心を感じれば、ストカーとして相談するでしょう。

ですが、相談者の中には、ストーカーを受けた相手と再び交際をする人もいます。

なぜなら、相談はあくまで一時的な感情の変化に過ぎず、元交際相手のアプローチをもう一度受け入れ、再び交際するケースもあるからです。

 

被害はあくまで相対的な結果

ストカー被害に対して警察が及び腰であり、なおかつ判断を誤るケースが多かったのは、被害者が加害者と再び交際するケースがあるように、非常に繊細な人間の心理が被害相談として伝えられるからです。

例えば、SNSの監視、一日一回のメッセージが何回も自分のもとに送られてくるといったストーカー行為であっても、被害者の受け止め方によって恐怖心の量もかわります。

なんらかの別の事情があり、別れを切り出すしかなかった人の場合は、相手から自宅周辺の監視をされていようとも恐怖心を感じず、ストーカー被害の相談すらしてきません。

一方で、同様の被害を受けても、その相手が見ず知らずの相手であったり、暴力をふるうような悪質な元交際相手である場合は、受ける恐怖心は圧倒的に高くなります。

普通の犯罪の場合、ものを壊される、盗まれる、傷を負わされるなど、目に見える損害があるため、警察は犯罪のレベルを確認しやすいです。

しかし、ストーカー犯罪となると、事件かすべきかどうか図る物差しが曖昧すぎるのです。

 

警察の判断基準とは?

 

現在、警察はストーカー被害者の被害度合いを図るため、マニュアル化されたチェックシートを用いていいます。

このチェックシートは日本ではじめに兵庫県警が使用しはじめ、実際に効果があったことから全国で使用されています。ただ、その内容などについて公開されることはありません。

しかし、問題となるのが被害の相談を受ける警察官が、このチェックシートを用いて判断しないケースも多々あるということです。

  今回の法改正を行う切掛けとなった小金井ストーカー事件の被害者女性の手記にも、自身が警察に資料をもって相談し、被害状況を訴えた時には、話を聞いていた女性警察官は一切なんのメモも取らなかったとする記述があり、この事件でも警察官はチェックシートも使用しなかった可能性が高いです。

 

個人の判断に任されている実情

チェックシートが導入されているとは言っても、現場の警察官全てがチェックシートを使用せず、個々の判断に任されているのが実情なようです。

しかし、これではストーカー被害を事件化し、捜査を行う判断すら、警察官の個々の判断能力に任されてしまっていると言えます。

また、明確な判断基準が無いからこそ作られたチェックシートですが、そのシートも万全ではありません。

新たな法改正により、チェックシートも作り替えるのは勿論のこと、危険なストーカー被害をとり逃さず、冤罪をうまないための厳密な新基準を作らなければなりません。

 

ストーカー被害の教育徹底が必要?

ストーカー犯罪の非親告罪化により、捜査そのものはしやすくなりました。

ただ、判断が難しいこの罪を、一体どのようにして警察は判断し公訴していくのは、疑問点は消えません。

少なくとも、非親告罪になるなら、現場の警察官達に対してチェックシート使用の徹底化、さらにはストーカー被害に対しる教育も徹底的に行わなくてはなりません。

また、被害者も警察の判断をしばらくは鵜呑みにしてはいけません。

非親告化されたといっても、捜査と事件かにはしばらくは及び腰でしょうし、まだまだ正確な被害診断も出来ないと思い、警察に頼れない場合には弁護士や探偵、その他のストーカー被害を扱うNPO法人などを頼ってください。