ストーカー被害者には誰でもなりたくありません。
しかし、そのためにはこれから出会う人間が、ストーカーかどうか判断したいはず。
また、ストーカー事件がメディアで何度も取り上げられるようになってからというもの、自分はストーカーなのかどうか不安になっている人も増えています。
この記事の内容
エミリー・スペンス・アルマゲヤー氏とは?
エミリー・スペンス・アルマゲヤー(以下アルマゲヤー博士)は、ソーシャルワーク専門の哲学博士。
まだストーカーに対して誰も興味を抱かなかった2000年初冬から精力的に研究に取り組み、様々な学術的調査研究が評価されています。
また、社会的弱者を守るための研究も多く行い、米国の「女性への暴力防止プログラム」や、フロリダ州の性的虐待委員会の理事も務めあげるほか、ホームレス問題にとも取り組む先進的な学者です。
アルマゲヤー氏は1999年に出版された著書『ストーカーから身を守るハンドブック』の中で、彼女の夫の姉がかつてストーカーの手によって殺害された事実を冒頭に記し、ストーカー研究が彼女にとってただの仕事ではなくこと。また、報道の世界の中だけにあるものでもなく、身近に起きる悲劇として、この問題に取り組むことが彼女の生涯をかけたライフワークであることを訴えています。
アルマゲヤー氏の語る『ストーカーの特徴』
アルマゲヤー氏が説明するストーカーの特徴は、実際にストーカーと関わったことのある人間からすると非常に的を得たもので、個人的には現存するストーカーの性格分類の中では最も正確だと感じています。
嫉妬深く執念深い
嫉妬深く執念深い人間は、ストーカーになる全ての人間に当てはまることです。
人間にとって、嫉妬や執念というのは重要な感情です。
何か障害にあたった時、簡単に諦めてしまわないために執念は効率良く使うことができます。
また、嫉妬も言い換えれば『負けん気』となり、他人に負けないように努力するための激しいエネルギーとなります。
世の中の成功者と言われる人々や、何かをつきつめた偉人達の大半は激しい嫉妬心と執着心を持っていたと言われます。
しかし、そのせいか彼らもこと恋愛となると、別れた相手に何度も電話をしていたり、プレゼントを送り続けたり、自宅を監視するなど、典型的なストーカー的行動が見られることが多いと言われます。
日本の偉人で、なおかつストーカーであったと知られているのが、千円札の顔にもなった野口英雄です。
野口英雄は誰がなんと言おうと諦めず研究を続け、偶然というチャンスをつかみ、ペニシリンを発見した執念の人。
ですが、どうやらその執念深さも影響して、ストーカーになってしまった経緯があるようです。
自己愛の強いナルシストである
自己愛(ナルシズム)とは、自らに対して向けられる愛情です。
世の中では否定的な意味合いで使われがちですが、本来、人はだれもが自己愛を持っており、そのおかげで冷酷で冷たい現実から目をそむけずに生きています。
ですが、自己愛を持ちすぎた人間の場合、他人への共感心や想像力が失われ、他者への思いやりも失われます。
妄想癖がある
妄想癖は被害妄想を生み出すために使われます。
ストーカーの大半は、現実的な被害がなんら無い問題に強い被害を受けたと妄想することで激しい攻撃性を示し始めます。
感情的で衝動的に動くことがある
ストーカーはこぞって感情的です。
ただ、問題は彼らが自らの感情をコントロールすることが出来ない点で、ストーカーになったあとは、自ら生み出す負の感情の連鎖を止められません。
一目ぼれがしやすい体質
一目ぼれのしやすさもストーカーに共通する点です。
それだけ異性への執着心が強い証拠で、なおかつあまり相手の内面性を気にしない自己中心的な考えの持ち主ともいえます。
一目ぼれをしやすい人間といっても、その全てがストーカーになる訳ではありません。
ただ、容姿のみにとらわれ、相手の中身を注意を払わない人は、相手の精神状態や意志などに普段から注意を払っていない人が多いのも事実です。
一目ぼれのしやすさは異性への執着の現れ?
一目ぼれは女性よりも男性のほうがしやすいと言われます。
その理由は、性的な欲求が強く、異性への興味関心が女性よりも遥かに高いからです。
そのせいか、男性は女性の内面まであまり注意を払わず、女性の意志などを尊重しない人も多く、ストーカーになりやすいです。
他人をコントロールしたがる(支配的な趣向)
相手を自分の言いなりにしたがります。
そのため、ストーカーは同時にDV加害者としての気質を備えていることも多く、支配的な人間ほど言いなりにならない被害者を力づくで自分のものにしようと考えます。
支配的な女性も増加
異性を支配しようという考えはもともと男性のものですが、最近では女性の中にも支配的な欲求の強い人々が現れはじめました。
支配的な性格の持ち主である女性は、異性を常にコントロールしようと考えており、支配できなければ攻撃し、相手を傷つけようともします。
男性のストーカー被害者は、女性がまさかそこまで凶暴化するとは知らず、事態を甘くて見て悪化させてしまいがちです。
自らの言動を他人のせいにする(責任を持てない)
自分の言動に責任感がないのもストーカーの特徴です。ストーカーは自らのストーキングだけでなく、失敗や過去の過ちも他人のせいにしたがります。
ストーカーは自らの過ちを認めない
ストーカー的な資質を持つ人は、自らを客観視することが殆どありません。
また、出来たとしても、自分の過ちや醜さを受け入れることが出来ないため、その全てを他人のせいにします。
ストーカー加害者から良く聞かれるのは『ストーカーになったのは相手のせい』という発言です。
また、相手のせいにはしなくとも『自分のアプローチのしかたが間違っていた』『警察がかってにストーカー扱いをした』『通報した加害者が悪い』という発言です。
こうした兆候を持つ人間は、実生活でも何かと自分の過ちを認めず他人や社会のせいにしがちです。
そういったタイプの人間と交際するのは十分気を付けなくてはなりません。
社会的に孤立しやすい(社会への適応能力がない)
ストーカーの大半は社会への適応能力が無く、孤独な生活をおくりやすいと言います。そのためか、人生の中でより孤独感が強まるという独身の中高年の男女ほどストーカーになりやすい傾向にあります。
孤独感は他人への依存心を生む
孤独心が強い人間は、他人への依存心も同時に高まります。
そのため、交際相手から別れられ、再び孤独になることを極端に恐れやすいです。
また、交際はしておらず、交際を申し込む時にも、孤独新が強い人間ほど執拗なアプローチを加えがちです。
自分をつねに周りの被害者(犠牲者)と感じている
ストーカーはこぞって自分の人生の不遇を他人や社会のせいにします。そのため、ストーカー加害者になったあとも、自分がストーキングをしたのは相手のせい、もしくは相手の家族のせいとする人間が非常に多いです。
被害妄想を加速させる
自分の人生の不幸や性格の悪さなどを他社や社会のせいにしがちな人間は被害妄想も強く、一旦ストーカーになると、強すぎる被害妄想のせいで元には戻れなくなります。
もともと被害者意識が低い人間は、自分が異常な状態にあることにいち早く気が付き、現実を受け入れることが出来ます。
ただ、普段から自らを被害者だと思っている人は、ストーキングに対して抵抗があまり無く、被害妄想も激しいため、現実を受け入れることが出来ません。
このような兆候は、社会的に失敗した時に多いと言われます。
留年や就職の失敗、解雇され無職となったタイミングはより激しい被害妄想に襲われやすく、危険なストーカーになる可能性が高くなります。
日常的に嘘をつき騙すことが得意
ストーカーは共通して嘘をつきやすいです。嘘をつく理由は様々ですが、その原因はプライドと自己愛を優先する自己中心的な性格であり、なおかつ拒絶されることを恐れるせいだと考えられます。
異性に気に入られるために嘘をつく
ストーカーの共通点として最近注目しているのは、彼らはこぞって目的の異性に対して、自分のプロフィールを少しだけ社会常識に合わせた上方修正を行っている点です。
例えば、桶川ストーカー殺人の犯人は風俗店経営でありながら、被害者には中古車ディーラーと名乗っています。
逗子ストーカー殺人の犯人は、臨時教員を常勤教員と偽り、三鷹ストーカー殺人の犯人は、フリータを大学生と偽っていました。
いずれも大それたレベルの嘘ではありませんし、普通なら見過ごすレベルです。
また、詐欺師レベルになるともっと大それた嘘をつきますし、探偵も職業的な理由から嘘をつくので、私からみると大した嘘ではありません。
ですが、彼らが『異性に気に入られるためには自分のプロフィールを胡麻化す必要がある』と考える自尊心の低さは、嘘の大きさよりも目立つように感じます。
彼らは自らを胡麻化し、人に気に入られなければならないと考えています。
その裏には、大きなコンプレックスが隠されていることも見過ごせない点でしょう。
怒りをともなう愛情を持つ
ストーカーは相手を愛すると共に、相手を憎しむ感情を持ち合わせます。この矛盾した感情を持ち合わせることは、ストーカーの行動原理に繋がり、自らの生活すらも捨ててストーキングに走る原動力となっています。
愛情と怒りの主張を繰り返す
ストーカーは不思議なもので、相手を『愛している』といったかと思えば、次の瞬間に『お前を殺してやる!』などと言い出したりします。
こうした矛盾した感情を持ち合わせる理由は、感情のコントロールが出来ないことや、相手から何でも良いから反応が欲しいという、あまりにも自己中心的な発想が原因でもあります。
権利を主張したがり、他人への要求が多い
ストーカーは他者や社会に依存しやすく、他人への要求が多いのも特徴です。
また、権利を主張し、相手を力任せにコントロールしようとする性格も見受けられます。
拒絶を受け入れることが出来ない
ストーカーは他人からの拒絶を受け入れられません。
彼らは生まれついて拒否されことに慣れておらず、他人や社会への依存度があまりにも高いせいで、拒否そのものをなかったことにしたり、力づくで自分を受け入れさせようとします。
他人がいなくては自己を確立できない(依存心が高く、自立心がない)
ストーカーは自立心が低く、他人なくては自分が存在しないと信じています。
活発で自立心が強い人間はストーカー事案とは無関係で、たとえ犯罪者であろうとストーカーにはなりません。
一方で、ストーカー無関係そうに見える公務員が起こすストーカー事件が多いのも、依存心と自立心の無さと大きく関係していると考えられます。
標準的か、もしくはそれ以上の高い知性を持つ
ストーカーは知性が低いと思われがちですが、実際にストカー事件を起こす人間の知性は非常に標準的か、もしくはそれ以上の高い知性を示す。
なかでも顕著なのが、弁護士のストカーです。
弁護士がストーカーになるなんて信じられないでしょうが、この職業は不思議なほどストーカーが多いことでも知られています。
彼らは非常に高い知性を持つ人が多いのですが、そのぶんストーキングをする自分を正当化することにも長けており、なかなかその行為をやめようとはしません。
被害者の精神的にいたぶる能力に長けるのも知性の高さの証拠で、相手に知られることなく住所を調べること、襲撃計画を実行させることも知性の高さのしるしです。
犯罪において、加害者の知性の高さほど厄介なものはありません。
ことストーカー加害者になると、知性は自らを騙し続ける毒となり、加害者の行為をよりエスカレートさせる結果を生むのです。
ストーカーの特徴に幾つ一致するか?
アルマゲヤー氏が調査研究の上で見つけたこれらストーカーの性格的特徴に自分やパートナーが幾つ一致したか確かめてみましょう。
幾つか当てはまる程度なら危険は少ないですが、その全て、もしくは殆どに該当するなら、ストーカーとしての素質は十分にあります。
自分に当てはまるようなら、加害者にならない努力をし、パートナーに当てはまるなら、別れる時にはぜひ注意してください。
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