脅迫・暴力・殺人、凶暴化するストーカーのプロセスとは?

探偵をしていると、自然とストーカーについて詳しくなります。

その情報はネットや文章から得られたものではなく、自分の目と耳、そして肌で感じた、本物のストーカーです。

しかも、私達はストーカーの生態をまるで観察するかのように長時間に渡って映像を記録し、発見したストーカー犯がどんな仕事をして、日常的に何をしているのかも確認します。

その点では、ストーカー研究科と言っても良いのでしょうが、探偵はあくまで調査し、報告することが仕事。得られたデータからストーカーについて研究することはありません。しかし、長年にわたって何度もストーカーと出くわしていくと、自然と彼らの行動をなぜ警察が止められないのかに嫌でも気が付かされます。

被害は急速に発展する

 

ストーカー事案が発生し、警察に相談するものの相手にされない人ばかりが探偵事務所にやってきます。

だからこそ、多くの探偵はストーカー被害者には親身に接しますし、なんとか被害を食い止めようと頑張ります。

ですが、そのころにはすでに明らかに危険な状態になっていることが多く、証拠を集めてすぐにでも警察を説得し、被害者の保護に動いてもらわなければならない事ばかりです。

 

ストーカーは急激に凶暴化する

ストーカーの凶暴化は段階を踏んで行われますが、その速度は個人差があまりにも大きいです。

一方、警察はストーカー対策マニュアル(ストーカーチェックシート)を利用してストーカー対策を行っていますが、そのチェックシートで危険度を計り、まだ安全だと判断しても、その次の日には脅迫電話が、さらに自宅周辺の徘徊がはじまることがあります。

しかも恐ろしいのは、ほぼ同時に被害者への襲撃が始まることもあるのです。

 

ストーカーは隠れて行動する

ストーカーの被害度は、被害者からの申告で図るしかありません。

私がかつて経験したストーカー事件では、被害者である女性は別れた男性からストーカー被害を受けていました。

はじめは復縁を求める電話が何度も続いていましたが、次第に脅迫めいた電話にかわっていき、警察に相談、警告を加害者に行いました。

ですが、その直後からストーカーは一気に凶暴化。

自宅周辺をうろつきはじめ、被害者には殺害や自殺をほのめかす発言を繰り返すなど行動がエスカレートしていきました。

その結果、警察は接近禁止令を出すことになりました。

 

ストーカーの凶暴化は一定ではない

 

ストーカーが凶暴化するプロセスは一定ではありません。

段階の踏み方は人それぞれであり、ストーカーごとに通過する段階も、その速度も変わります。

 

警察の警告により凶暴化するストーカー

私が経験したストーカー事案では、警察が抑止のために行った警告が仇となり、ストーカー行為がエスカレートしてしまいました。

ストーカーの大半は警告により自分がストーカーであると気が付き、それ以上の犯罪を犯さないようにと接近をあきらめます。

ところが、一部のストーカーは警告をされることで激情し、よりいっそう激しく攻撃に出てくるのです。

警告によりストーキングが過激になるのは、ストーカーが被害者から強い拒絶を受けたと感じる思考が大きく影響していると考えられます。

ストーカーは被害者への執着心が強く、とにかく相手から拒絶されることを恐れます。

その恐怖心が、何がなんでも相手を支配し自分のものにしようとする攻撃性に置き換わってしまうのがストーカーの特徴なのです。

よって、あまりにも執着心が強い人間の場合、警察からの警告で自分が強く拒絶されたと勘違いし、よりいっそうストーカー行為を激しくするのです

 

ネットストーカーは突如現実で活動を開始

ネットストーカーは今までそこまで危険な存在と思われてきませんでした。

しかし、最近ではネットストーカーがエスカレートするプロセスが、第三者の目で判断しづらいことが判明しています。

ネットストーカー(サイバーストーカー)はネット上で活動し、コメントやメッセージを送ることが主な活動となります。

しかし、ネット上の言動による攻撃は、現実でのつきまといや自宅周辺の徘徊おりも程度が低いと考えらがちです。

ところが、ネットストーカーはブログやSNSでのコメントを送り続けながら、脳内では現実世界で活動するストーカーと同じように興奮を増していき、現実のストーカーと同じようにエスカレートしていくことが最近になりわかってきました。

ネットの活動で最高潮にまで達してしまったストーカーが恐ろしいのは、突如として犯行計画をねり、被害者を襲撃するという展開です。

このようなストーカーは以前にも存在していたのですが、世間にはそれほど認知されておらず、本来ストーカーに対する専門家であるべき警察官たちも、ネットストーカーがいきなり犯行に及ぶとは考えていなかったようです。

結果、2016年にストーカー規制法が改正され、ネットストーキングも規制範囲におさまる切っ掛けを作った小金井市女子大生ストーカー殺傷事件では、ネットストーキンカーである加害者の行動を読み切れず、警察の対応に遅れが目立ってしまいました。

 

ストーカー対策のコツは『様子を見ようと考えない』

ストーカー対策をするとき、様子をみながら対策を練ろうとするのは大きな間違いです。

ストーカーが過激になるプロセスは一定ではなく、しかも、警察や被害者ですら被害者のエスカレートの度合いを知ることが出来ないのです。

その結果、対応が遅れたり、誤った対応をしてしまったせいで、悲劇的なストーカー事件がいまだに続いています。

ネットストーカーに関しては2016年の規制法が適応されることになりますが、それでもすぐには警察もネットストーカーに対して積極的に対応はできないでしょう。

なぜなら、ストーカーへの対応は警察の個々の能力に依存しているため、中には施行後もストーカーに対して甘い対応をする警察もいるからです。

周りに様子をみながら対応したほうが言われても相手にしてはいけません。

ストーカーはなるべく早く、相手がエスカレートする前に決着をつけるほうが、被害者へのダメージが少なくてすむのです。