実録所在調査:孤独な息子を探したい

「所在調査」という調査では、その対象となるのは家族や親類となるケースが最も多いでしょう。

そこで、今回は家族を探す一例として、一風変わった探しものをした例をご紹介させて頂きます。

相談者

今回ご紹介する依頼者はOさん(男性・40代・会社員)

Oさんが探偵社にやって来たのは、かつて家出をした息子さんを探すためでした。

Oさんの家族には子供が2人いました。長女は現在会社員として働いておりすでに結婚。孫も生まれ順風満帆な生活をしていると言います。

一方、弟であるUさんは若い頃から精神的に不安定で、そのことが原因で家族と反発。20になるころには家を出て行ってしまいました。それから時折連絡はあるものの、ある時からぷっつりと途絶えてしまい、消息がまったく分からなくなってしまったと言うのです。

これに心配したOさんは息子さんの住むアパートを自ら探し出しました。しかし、部屋はすでにもぬけの空。引っ越しも夜逃げ同然で行われたらしく、周囲の人間も息子さんの引っ越しを一切知りませんでした。

また、管理人から勤め先を教えてもらったOさんはその足で勤務先に向かうものの、すでに退職した後。Uさんの引っ越し先についても何も聞かされて居なかったようです。

それから数年が達、Oさんも息子さんを探し出すことを諦めかけていた時、娘さんが妊娠。待望のお孫さんが生まれたのです。

その姿を見た時、Oさんは「やはり長男を探し出したい」と感じ、探偵社に調査を依頼したのです。

依頼内容

この案件で調査対象者となったUさんは当時32歳。最後に努めていたのは車の部品関連を扱う工場で、職歴も殆どが工場関連のものでした。

また、精神的疾患はまだ続いていたらしく、会社にも「統合失調症」を理由に退職していました。

この事から、調査開始時点でUさんは定職に付いていないと予想しました。

調査開始

今回の調査で重要となったのは「Uさんの病気」と「無職」という二つのアイテムでした。特にUさんの病気についての情報が無ければ、恐らく調査は成功しなかったかもしれません。

情報を整理した時点で、まず私はUさんが働いていた勤務先にもう一度向かい、事情を説明して診断書の類が提出されなかったか聞き込みました。するとやはりUさんが退職のために提出した診断書が見つかったのです。

ただ、診断書の内容を見るには本人の承諾が無ければなりません。ここで個人情報保護法案を会社側が持ち出しましたが、その法律で診断書の内容を教えない理由にはなりません。そこで、私はOさんと連絡を取ってUさんの行方不明届を出してもらいました。その後、代理人である証明を受け渡してもらい「統合失調症による自殺の恐れがある」として、診断書の中に書かれた病院名と担当医の名前を教えてもらったのです。

その内容によれば、病院は近所のものではなく、市を3つほど跨いだ場所にある大きな総合病院でした。

しかし、病院に直接聞きこんでも効果はありません。病院には守秘義務があるので、探偵が聞きこんだ位では情報を提供してくれないのです。

ただ、その病院から何らかの別の情報が引き出せる可能性は十分にありました。

勤務先の話によると、Uさんは元々精神疾患が患っていたものの、一時期は回復し、最近まで症状が発症したことは無かったそうです。

それが最近になって、勤務態度にも不審な点が多く出てきて仕事を休みがちになり、ついには精神病が再び発症していたことが分かったと言います。

となれば、この診断書を出した病院で継続して治療を続けている可能性は十分にありました。また、治療を続けながら障害者手帳や障害年金を受給する手続きを受けている可能性もあります。

となれば、市役所か病院のいずれかを張り込みながら、そこにUさんが現れるのを待つしかありません。

そこで、私たちは2人一組で2週間に渡って、午前中に限定して病院と市役所の二か所を張り込み続けました。所在調査というと聞き込みのイメージが強いかもしれませんが、本人を確認するために張り込みや尾行も駆使します。

張り込みを初めて1週間の間は、市役所にも病院にもUさんは姿を現しませんでした。本人確認様に依頼者からもらった写真は高校生時代のものでしたが、先の勤務先に対する聞き込みのおかげで、直近の写真を提供してもらうことが出来ました。

おかげで見逃し(対象者が建物から出てくる姿を見逃すこと)を避けることは出来ましたが、なかなか対象者は姿を現しません。

それからさらに4日が過ぎ、張り込みを続ける私たちの間で

もしかしたら、別の病院に通院しているのでは?」といった話が出始めたころ、ついに対象者が病院に姿を現しました。

この姿を見た瞬間、すぐに一丸レフを構えて本人の顔を撮影。病院内に消え、精神科の待合室で待つ姿を確認しながら、先ほど撮影した写真を本部に転送し、依頼者に確認してもらうことにしました。

その結果、やはり本人に間違いないとのメールが届き、私はついにUさんの姿を捉えることに成功したのです。

調査結果

病院でUさんを確認したあと、すぐに市役所で張り込んでいた調査員と合流し、自宅の割り出しに成功しました。

その住所をOさんに伝えた所、すぐにUさんの元に行って昔のことを謝りたいと言っていました。

ただ、統合失調症でつらい時期であること、さらにUさんの精神状態が不安定になる可能性もあることから、会う時には慎重を期すよう進言させてもらいました。

まとめ

親と子の関係というのは複雑なものですが、そこに精神疾患などのトラブルが絡むと、その糸を解くのは並大抵のことでは無くなります。

しかし、地道に対話を続け、お子さんのことを理解する姿勢を見せ続ければ、いずれ心を開いてくれるかもしれません。また、心を開いてくれなくても、お子さんの身の安全さえ確認すれば、少しは不安も消えるかもしれません。

もしも消息不明のお子さんがいるなら、是非一度会って話をしてあげてください。孤独で辛い思いをしながらも、必死に生きている姿だけでも是非見てあげてください。