実録所在調査:子供を捨てたキャリアウーマンを探せ

「父親に愛想を尽かした母親が家を出ていく」のは、もはや昭和の頃までの話でしょう。昔は収入が少ないにも関わらず亭主関白な男性も多かったので、そんな男性は奥さんに見捨てられることも多かったのです。

しかし現代では、男性もおとなしくなり、昔ほど亭主関白な旦那さんは「昭和の遺物」といっても良いでしょう。

ただ、それでも家を捨てる女性が減ったわけではありません。

むしろ、女性の社会進出により離婚率は増加し、結果的に浮気率も増加しています。

その結果、かつてよりも遥かに簡単に家庭を捨てる女性も増えています。

こうした女性達は、確かに自立した強い女性かもしれません。

ただ、そうして自由奔放に生きるその姿を恨んでいる子供達がいることを、私たちは決して忘れてはならないのです。

相談者

今回ご紹介する依頼者はIさん(20代・女性・会社員)

Iさんは幼いころ、自分母親に捨てられた経験を持っている方でしたが、あることを切っ掛けになんとかして母親を探し出しと願い探偵社にいらっしゃいました。

Iさんの母親が家を出ていったのは小学生の頃でした。家族は父、母、そして弟が一人。両親は共働きで、母親はキャリアウーマン、父は学校の教師だったといいます。

しかし、母親は仕事が忙しくあまり家におらず、休日にも仕事が行くことが多かったせいで、教師であった父親がIさんと幼い弟の面倒を見ることが多かったと言います。

しかしある日、父親と母親が離婚しました。その理由について、子供のころは何も聞かされませんでしたが、Iさんが高校を卒業したのと同時に父を問い詰めると、父はようやく母親は不倫のすえに離婚したこと白状したのです。

その話を聞く前から、Iさんは離婚の原因について気が付いていたといいます。しかし、幼い弟と自分に必死になっている父を見て何も言い出せず、とにかく父の負担を軽くしようと、自ら率先して弟の面倒を見ていたと言います。

そんな経験からか、Iさんは母親を強く憎んでいました。自分たちを捨てて出て行って、女を選んだ母親に対する憤りは父子家庭というコンプレックスも相り、一時期は自らの憎しみがあまりにも強い事にすら悩んで、周囲に内緒で精神科にすら通った程であると言います。

しかし、大学を卒業して良い男性とめぐりあった後、Iさんは相手の幸せそうな家庭を見て、改めて自分の母親に会いたいと感じたといいます。

また、その後の子育てのことを考えても不安になったと言います。自分の母親がどの様に子供に接していたか知らないIさんは、自分も母親の様に家庭を滅茶苦茶にしてしまうのではと恐れていました。

そんな複雑な思いをどう払拭するのか?考え悩んだ結果、Iさんは母親を探し出して、きちんと自分達に謝ってもらうしかないという結論に至りました。そして、自分が感じる強い憎しみから解放されれば、結婚後の生活もきっと上手く行くのではと考えたのです。

もちろん、母親に会ったからといって問題が解決できる保証はありません。

しかし、精神科やセミナーにすら通っても消えない傷を消したいと、Iさんは藁をもすがる思いで探偵社に依頼されたのです。

依頼内容

今回の調査対象者となったIさんの母親は、Iさんが高校を卒業するまで、隣県のある住宅街に住んでいたことが分かっていました。この情報は調査を依頼するに当たり、Iさんが父親から聞き出した情報です。

また、母親の旧制を含めた本名と生年月日、さらに離婚後しばらく務めていた勤務先についても調べていました。しかし、実家の詳しい住所だけは離婚した父親も覚えておらず、おおよその市の地域のみが判明しています。

ただ、これだけ情報が集まっていれば探偵にとっては優しい案件といえます。

また、Iさんが結婚まで残り2か月程しか無い状況だった事もあり、この調査を担当した私は、すぐさまデスクで情報を整理し始めたのです。

調査開始

事前情報の中で、一般的に最も依頼者にたどり着ける可能性が高いものは、母親の実家住所地を探し出すことでした。続いて以前の勤務先への聞き込みも有力です。

しかし、それよりも先に私はインターネットを利用し、母親の本名を含めたプロフィールを利用したオシント(公開情報分析技術)を開始しました。

オシントとは、元々外交官が他国の情報を公開されている資料から推測するための技術です。ただ、現在は公民を問わず、「情報推測」の作業が必要とされる業界でも使われており、情報探索を仕事とする探偵業界にもオシントが浸透しています。

特に今回のケースでは、対象者が有名企業の元社員であったものの退社していたことから、キャリアアップのために他社に転職、または独立を志したものと推測できた為、インターネット上からも情報を得るのは容易いと考えました。オシントによる人物プロフィールの完成は、もともと公開資料に乗りやすい著名人を対象に行われていたものですから、向上心の高いキャリアウーマンなら確実に網に掛かると考えたのです。

 

そして調査の結果、私の予想が的中しました。

ビジネスネームを使用してはいましたが、ある雑誌の取材記事に対象者が登場していたのです。

ここから対象者の勤め先が判明。すぐに勤務先周辺で張り込みを行い、対象者が出てきた所を尾行。帰宅先を判明させることが出来ました。

対象者の自宅は高級住宅街の一角にあり、ガレージには高級車。裏庭には子供用のブランコが揺れていました。

調査結果

この調査の結果、対象者の自宅住所と勤務先が判明しました。

調査の報告書を見たIさんは大変複雑な心境だったと思います。自分達を捨てていった先で成功を掴んだ母親を許せる子供なんて、日本中見渡してもそう居ないでしょう。

ただ、母親に別の子供が居ることを告げると、Iさんの表情はかすかに変わり「一度だけ母に会ったら、それで終わりにします」と強い口調でおっしゃいました。

おそらく、母親を憎めば、それが罪の無い子供に何か悪い影響を及ぼすかもしれないと考えたのでしょう。母親への憎しみに溢れていても、それはIさんの純粋で優しい面が強く影響していたはずです。

まとめ

この後、Iさんは母親と会って話たあと、すっきりとした気持になったことを探偵社に伝えてくれました。

母親を許す気にはなれなかったと言いますが、それでも母親の姿を見たことが、誰に向ければ良いか分からない、やり場の無い怒りを鎮める理由になったと言います。