個人情報の流出に関する事件が多いですが、その中でも探偵が関わった事件は数件存在します。
そこで、今回は探偵業と個人情報流出に関する情報について詳しく説明させて頂きます。
個人情報を流出させる人間たち
『広島の税務職員、探偵だった? 別の探偵に情報漏洩容疑』
広島県の税務情報システムを使い、探偵に個人情報を漏洩(ろうえい)した見返りに現金を受け取ったとして、県警は8日、県東部県税事務所職員の川崎彰夫容疑者(46)=同県福山市、地方税法違反(秘密漏洩)などの罪で起訴=を加重収賄と地方税法違反(同)の疑いで逮捕し、発表した。また、探偵の南康公(やすひろ)容疑者(43)=同県尾道市=ら2人を贈賄などの疑いで逮捕した。
捜査関係者によると、川崎容疑者は県職員として働きながら探偵をしており、福山市内で有力な探偵事務所の経営者の南容疑者に接近したとみられるという。川崎容疑者は昨年12月、今回とは別の車の使用者情報を南容疑者に漏洩したとして地方税法違反(秘密漏洩)などの罪で起訴されている。
(2016年1月8日 朝日新聞より
『車の所有者を漏らす警察官』
愛知県警が県内の探偵業者らの捜査を進める過程で、長野県警の現職警察官2人が逮捕(地方公務員法の守秘義務違反)。自動車の所有者情報を警察官の特権で照会し、探偵業者に売っていた。この探偵業者も同法の「漏洩・そそのかし」で逮捕されたが、愛知県の探偵業者からの依頼を受けていた。
(ビジネスジャーナルより引用)
『ドコモ・auの客情報売買 探偵業者、販売店を利用か』
携帯電話大手のソフトバンクの顧客情報が漏れていた事件で、最大手のNTTドコモやKDDI(au)の顧客情報も
探偵業界で売買されていることがわかった。携帯電話の契約台数は1億2千万台を超えて国民1人に1台の時代だが、個人情報が漏洩(ろうえい)の危険に
さらされている深刻な状況にあり、愛知県警は大手3社に捜査協力を求め、実態解明に乗り出した。
愛知県警は6月28日、岡山市のソフトバンクの携帯電話販売店元店長の横田太佑(だいすけ、33)と
広島市の探偵業平田一雄(36)の両容疑者を、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで逮捕した。
捜査関係者によると、横田容疑者は平田容疑者の依頼を受けると、店の端末でIDを使って
ソフトバンク全体の顧客情報を管理するシステムにつなぎ、調べたい人の自宅住所などの情報を調べていた。
報酬として1件6千円を平田容疑者から受け取っていた。(12年7月2日付朝日新聞より)
上記の事件をご覧頂けば分かる通り、どんなにセキュリティを固くしていても、情報をほしがる人間が要る以上、個人情報の売買は簡単に行われてしまいます。
そして、情報の買い手となるのは、なんと「探偵」であるケースが非常に目立っているのも問題です。探偵業界の健全化を目指して、各探偵社が様々な企業努力を行っている中でこうした事件が発生してしまうと、依頼者に方々に不安を与えかねません。
それにしても、なぜ探偵が個人情報の買い手になってしまうのでしょうか?
所在調査の需要が高まっている
現在、探偵業界では「所在調査」と言われる調査項目の需要が高まっています。
所在調査はとは、特定個人の連絡先を調べるための調査ですが、この調査が人気になりはじめた理由には「個人情報保護法」の存在が大きいと言われています。
連絡が取れなくなった時、その連絡先を調べるのためには聞き込みを行うのが普通です。その聞き込み先となるのは、その人物が務めていた会社や、住んでいたマンションの管理人、または近隣住民となります。
しかし、その様な聞き込みを普通に行って成功できたのはかつて昔の話です。個情報と、それを守らなくてはならない概念が誕生すると、人々が「他人に情報をみだりに教えてはならない」という意識を強く持ち始めたのです。
その結果、かつては一般の方でも勤務先を訪ねれば教えてもらえた連絡先も、「個人情報の保護」を目的に断られるケースが目立っていったのです。
人は人を探さずにはいられない
しかし、それでも人は人を探さずには居られません。
特にご高齢の方は、かつての友人や生き別れた家族と死ぬ前に一度会いたいと思う方が多いです。また、仕事上の理由で連絡先を取らなくてはならない時も、やはりどうにかして相手の連絡先を調べなくてはなりません。
ただ、自分では調べられなくなった現代社会の中で、どうしても相手の連絡先を知りたければ、あとは探偵に依頼するしかありません。
この様な理由から、探偵業における所在調査の地位は、今や浮気調査と同等にまでなってきたのです。
無理な所在調査をこなすため?
流出した個人情報を購入する探偵は、その情報を所在調査のために利用しています。
しかし、こうした情報を使わずとも所在調査は可能ですし、殆どの探偵社は流出した情報を買ったり、情報の流出を促すような真似はしません。
ですが、調査力に自信が無かったり、所在調査によって無理に利益を上げようとする探偵社はそうではありません。なんとかして所在を判明させようと躍起になり、ついには違法行為に手を染める様になります。
また、個人情報の流出を促す人間は、意外なほど法律に関する知識を持っていません。自分がしている事を「情報のリーク」程度に考えており、ことの重さを理解できていないケースが非常に多いと聞きます。
探偵は調査力はもちろんですが、それ以前に法律に関する知識をしっかりと頭に叩き込んでおかなければなりません。
違法行為によって所在調査を行う探偵は、知識が不足し、なおかつ調査技術に劣る悪質な業者が殆どなのです。
違法行為を行う探偵社に依頼しないためには?
流出した個人情報を使って調査を行う悪質業者を見分けるのは簡単ではありません。
個人情報の利用が所在調査に重きを置いているので、所在調査をメインに売り出している探偵社や、市場の相場価格よりはるかに安い料金で調査を行う探偵社には注意をしましょう。
また、無料相談を行った時に「どんな依頼内容でも調査ができる」「電話番号さえあれば探し出せる」といった発言を聞いたら注意してください。通常の所在調査を行っていれば、まずそんなことはありえません。
まとめ
違法調査に手を染める探偵社を見ると、いつもとても残念な気持ちになります。本当のプロは、限られた条件で最大限の結果を出すもの。
探偵業社は違法調査を行わずに自社の調査力の向上に努めていただき、依頼者の方は悪質業者を見分ける目を養って頂きたいと思います。
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