女性の浮気と男性の浮気には決定的な違いが一つあります。
それは、一度に不倫をする人間の数です。
近年、女性の浮気数が上昇していることが注目されていますが、その不倫や浮気が男性とまったく同じ形で進化を遂げている訳ではありません。
むしろ、浮気や不倫事情を常に観察している私にとっては、女性の浮気が上昇するにつれて、男性の浮気の異常性に気が付かされる事も多くなってきました。
そこで、今回は私が気が付いた男性の浮気や不倫の恐ろしい仕組みについてご紹介させて頂きます。
男性の浮気の特徴
男女の浮気を見比べた上で、明らかに違うポイントは『浮気相手との関わり方』です。
女性らしい女性(繊細で魅力的な)であればあるほど、浮気や不倫をした時には、元のパートナーへの愛情が覚め始めていきます。
しかし一方、男性らしい男性(野性的で自我の強い)であればあるほど、複数の浮気相手と接していても、それぞれへの愛情配分が変わりません。それどころか、自分の奥さんに対してすら愛情表現豊かに接するという点です。
この罪悪感の欠如ともいうべき現象を、女性は良く「多重人格」「サイコパス的な」という表現をもって、一種の異常性として片づけられてしまいがちです。
しかし良く考えてみれば、彼らを精神異常者と言い切ることは現実的ではありません。
探偵として浮気を見てきた私の経験では、多くの浮気相手や不倫相手を持つ男性が多重人格者であり、精神に異常がみられたことはありません。
また、サイコパス的な良心の欠如も見られず、ビジネス上はシビアであっても、プライベートでは友人や家族を大切にする男性が多いのです。
また、浮気性男性の性質を過去の一夫多妻制度の名残として説明することも出来るでしょうが、それでは「何故複数の異性に愛情を注げるのか?」という疑問の具体的な答えにはなっていないでしょう。
それでは、いったい何故浮気性の男性は、一度に複数の女性に対して同じような愛情を注ぐことが可能なのでしょうか?
男性は「複数の記憶」を管理することが出来る
脳科学の世界では、男性が一度に複数の女性に愛情を注げるのは、異性にかんする記憶を複数のストレージ(領域)に分けて管理しているからだと考えられます。
記憶は感情を呼び起こす
男性が罪悪感をそれほど感じることもなく、複数の女性に愛情を与えるためには、その女性と接している際、もしくは接しようと思った時には、必要な記憶を開き、その他の不必要な記憶を閉じる必要があります。
例えば、Aと一緒に居る時に、Bの事を考えている瞬間、その男性は一瞬ではありますが、間違いなくAの記憶を封印しています。代わりに、Bとのデートの記憶などを思い浮かべ「Bと会いたいな」などと考えることが可能です。
そして、Aと別れた後にBと接している最中、その男性はAの記憶を完全に閉まっているでしょう。もともと、脳内には同時に複数の記憶を再生することはできても、認識できる記憶は単一です。Bと接している間にさっきまで会っていたAの記憶を思い出すことはなく、Bの記憶を思い出し、それに飽きると、こんどはCとのデートの記憶を思い出して「今度はCと会いたい」と考えはじめているのです。
記憶は人格も形成する
浮気男性が様々な顔を持つがあまり「多重人格者」などと言われる理由は、記憶のストレージがあまりにも多数あり、なおかつそれぞれの属性によって脳内で完璧に整理されてしまっているが故でしょう。
人格は記憶によって作られます。嫌な記憶は他社への恐怖や攻撃性を発露させ、反対に嬉しい記憶は、社会への信頼感を増し、安定した性格を形成します。
人はこれらを一つのストレージの中で行っていると考えるため、男性の性格を「一貫したものである」と思いがちです。
ただ、実際にはストレージ管理が徹底して行われている男性ほど、接する人間や必要性によって引き出す記憶を変え、表現する感情を変え、行動性質そのものを変えています。
ストレージ管理は男性に必要不可欠な能力
男性の脳にいくつものストレージが出来たのは、より困難な状況に対応するためであったと考えられます。
また、男性が複数のストレージを持つに至ったのに、狩猟や戦争などの危険な行為に身をさらしていたことも深く関係あります。
そのとき、目の前に迫る危険を回避するには、とにかく目の前の事に集中しなくてはなりません。そのためには、時には過去の恐怖の記憶や、愛する家族や子供の記憶すらも一時的に封印する必要がありました。でなければ集中力を削ぎ、目の前の困難を乗り越えられずに死んでしまう可能性があったのです。
男性の不倫は記憶操作によって可能になる。
SF小説として名高い傑作『1984』には、作家であるジョージ・オーウェルの考え出した「2重記憶(ダブル・ミーニング)」という架空の記憶方法が登場します。
この小説内では、ある独裁国家が市民を洗脳するために用いるため、国の独裁体制を維持するためのプロパガンダを信じながら、もう一方で独裁体制に疑いを持つという二つの思考を完璧に行うことが必要不可欠であると説いています。
その様な思考法はSFの世界のものであると考えられていましたが、愛する奥さんを裏切り続けながら、数々の女性を誘惑し続ける浮気症の男性達を見ていても、1,984に登場した2重思考が本物である気がしてなりません。
ジョージ・ウォーエルはこう言っています。
『心から信じて巧妙なウソを付くことと、都合の悪い事実を完全に忘れてしまう、しかし必要な時には必要な間だけ、忘れていたはずの記憶を引きずり出すこと。
客観的な現実を否定しながら、同時にその事実を頭に入れておく───このような事は、どうしても必要になるのだ』
この言葉は、独裁政権を維持するための洗脳者ではなく、浮気をする男性たちの思考にこそ、ぴったりと符合するのではないでしょうか。
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