不倫に関心がある人間であれば一度は聞いた事がある巨大不倫SNSサイト『アシュレイ・マディソン』の情報流出事件が発生してから2か月が経過しましたが、この間に自体は急展開を見せており、世界中の不倫希望男性達に恐るべき攻撃が始まっている事が明らかになりました。
さらに、その攻撃の対象は日本にも及んでおり、すでに流出情報をまとめるサイトまで出現し始めています。
一体、この騒動はこの後どうなって行くのか?
今回は同事件の詳細を追うと共に、日本での展開について予想してみたいと思います。
アシュレイ・マディソンとは?
アシュレイマディソン(Ashley Madison)とは、カナダからスタートした既婚者向けの出会い系SNSサイトです。
「人生で一度不倫をしまよう」の強烈なキャッチコピーを掲げ、サービスの提供開始から本国カナダを中心に成果中に広まり、会員数は2200万以上を獲得するに至りました。
しかし、過激なコピーや非道徳的なサービスは各国で物議を醸しており、同サイトが上陸した国々では規制や訴訟騒ぎが続発していました。
また、同サイトは出会い系SNSながら、運営会社やCEOの露出が激しく、その発言も過激。
CEOであるノエル・ビダーマンは街頭広告、インターネットCMなどを積極的に行っていますが、あるインタビュアーが反社会的なサービスになんの意味があるのか尋ねた所「不倫は夫婦関係を円滑に保つ。離婚率を減らすには不倫をすべきだ」と答えています。
この様な過激な営業活動を行い続けてきた代償であったのか、アシュレイマディソンはついにハッカー集団『インパクト・チーム』の標的にされ、サーバー内に残されたユーザーデータの他、運営会社内部のメールを含むありとあらゆる情報が流出してしまったのです。
本国カナダでは自殺者まで発生する事態に……
アシュレイ・マディソンのデータ流出による影響は、すでに死人が出るまでなりつつあります。
同本社の所在地となるカナダトロント市警察の発表によれば、今回のハッキング事件で流出したのは3700万人分のデータであり、情報流出からすでに恐喝や報復などのヘイトクライム(憎悪犯罪)も世界各国で発生しています。
さらに、トロント市内で同流出事件の被害者と思われる人物2名が自殺しているとの事です。(トロント警察発表:9月19日時点)
また、同サイトのユーザーは一般人のみならず、世界各国の公務員、または政府関係者まで存在するため、メールアドレスの漏洩は国家機密にまで関わるとし、アメリカ国土安全保障省とFBIが調査に乗り出しています。
漏洩され続ける情報
情報漏えいにより、アシュレイ・マディソンの登録者達のメールアカウントには夥しい数の脅迫メールが届いていますが、さらに恐ろしいのは、流出した情報が様々な手法によってインターネット上に溢れている事です。
特に登録メールアドレスは個人を特定し得る可能性が高く、うっかりEmaiアドレスなどで登録してしまった方は今頃毎日のように送られてくる世界各国からの脅迫メールに悩まされている事でしょう。
さらに、すでに日本人の登録ユーザーをまとめたTwitterアカウントまで流出しており、日本人も標的になっている事が伺えます。
参考:アシュレイ・マディソン自己紹介bot
https://twitter.com/madisoncomments
ハッカー『インパクト・チーム』によって暴かれた巨大不倫SNSサイトの実態。
今回の事件の明らかになったもう一つの事実として、同サイトに登録していた女性ユーザーの殆どがロボットであった可能性が示唆されています。
情報源は、米国のメディアGIZMODOの調査と、インタビューに答えたハッカー集団「インパクト・チーム」のメンバーの証言によるものです。
参考:
http://gizmodo.com/almost-none-of-the-women-in-the-ashley-madison-database-1725558944
ハッカーチムの証言と、GIZMODOの調査を総合すると、同サイトには以下の様な不審点が存在する様です。
女性ユーザーのほぼ全てがロボットである
セキュリティの貧弱性
世界各国の不倫希望者のデータを扱いサイトでありながら、そのセキュリティは一般企業と同程度かそれ以下であったとの事。
インパクト・チームのメンバーの証言によれば「予想されていた障害は一切存在しなかった」「同社内で最も人気のパスワードは”123456″だった」との事です。
この様に、ハッキング攻撃によってサービス面とセキュリティ面の粗悪さを露呈してしまった以上、同サイトが復活することは二度と無いのかもしれません。
罠に貶められた不倫者達
今回の事件を受け、すでに2名の自殺者が出ていますが、自殺者のみならず、アメリアカや欧州では『金銭を支払わなければ情報を公開する』等と金銭をせしめる恐喝事件が多発し始めています。
さらに、9月18日には同ハッカーチームが新たに情報を公開。アシュレイ・マディソン側はおよそ4500万円の懸賞金を掛けてハッカーチームの情報を追い求めています。
しかし、例えハッカーを捕まえたとしても、インターネット上に流出した情報を完全に回収する事は不可能でしょう。被害にあったユーザーの一部はすでに損害賠償を求める訴訟を起こす動きを見せており、その請求額は日本円にして7億円程度の金額になると言われています。
ただ、それでも恐らく日本の出会い系サイトが消える事はありません。
例えクラッカーからの攻撃があろうとも、なぜ不倫が消えず、不倫を推奨するようなサイトビジネスが横行し続けられるのか、不思議がる人もいるかもしれません。
その問に対して、アシュレイマディソンのナンバー2であるクリフト氏が来日の際、インタビュアーに『人間は本来不倫をする生き物なのか?』と質問された際、以下の様に答えています。
クリストフ氏の発言内容
不倫をする主な理由は2つあります。
ひとつは、パートナーと感情的な繋がりが足りないと感じたとき。もうひとつは、ベッドライフつまりセックスを楽しみたいと感じたときです。
もし仮に、私のパートナーが不倫をした場合、それは悲しい出来事ですが、私にもその2つの理由のどちらか、または両方を果たしていない可能性があるのです。そして、多くの人々はこの責任について無自覚になっています”
フリストフのこの主張は事実であり、浮気調査に携わる人間からすれば、性欲による浮気や、パートナーとの不仲が原因の不倫ばかり目立つのは否定できません。
しかし、その結果起きる夫婦の崩壊や、代償として支払わなくてはならない金銭(慰謝料)
が発生するのもまた事実でしょう。
今回起きた事件も、不倫という反社会的行為がもたらした当然の結果なのでしょうか?