夜の街で働く人間にとって、色恋沙汰は切っても切り離せない問題です。
そもそもが、その「色恋」を売りにしいている店もありますし、もしくは色恋以上の何かを売りにしている店もあるでしょう。
そうした場所にあつまる客は、当然その色恋を楽しむためにやってきます。が、そんな仕事に従事している人間でも完璧にプロとして割り切りならが色恋目当ての客に対応しきれている訳でもありません。
また、夜の街で働くのは女性だけではありません。こうしたトラブルは、水商売で働く男性にも起こり得る問題でもあるのです。
相談者
今回ご紹介する相談者は茨城県在住のAさん(40代・女性・飲食業)
Aさんの旦那さんは同県内でバーを経営しており、Aさんのとの出会いもそのバーでした。
旦那さんと出会う前は、Aさんは界隈のスナックで働いていたのですが、それから旦那さんのバーで通うことが多くなり、そこで旦那さんから告白されたのを期に交際が開始。それから1年も経たない内に結婚が決まったといいます。
しかし、結婚後次第に旦那さんからの愛情を感じれなくなり、ついには浮気を疑うまでになってしまったそうなのです。
「そんなこと、結婚前にわかっていたろうに」
と思う方も多いでしょう。
しかし、この依頼者の名誉を守るためにいえば、Aさんも当然その覚悟はしていたようなのです。
しかし、人間というのはどこまでも割り切れるものではありませんし、愛情が深くなれば深くなるほど嫉妬心は強くなるものです。
また、Aさんは本当に浮気をしていても離婚をするつまりは無いと述べました。それが水商売で働く女性の、同じく水商売をする男性へ理解なのでしょう。
全国の浮気性の男性からすれば羨ましい関係かもしれませんが、それれでも依頼者が傷ついていたのは間違いありませんし、もしも浮気の度合いがひどければアッサリと離婚する可能性は当然存在していました。
依頼内容
Aさんが旦那さんの浮気を疑う原因は様々でしたが、一番警戒していたのは、バーの客のうち、どこか別の水商売の女性と関係が発展していないかでした。
それはもちろんAさんと旦那さんが出会った方法でもあるため、まっさきに疑う所でしょうが、これについては実際に店に出向いて調査を行うしかありません。
また、同じ水商売関係の友人も、時々旦那さんが店を閉めたあと、女性と腕を組んで歩いている姿を見たという情報もあります。
調査開始
今回の調査では、行動調査を行う過程の中で実際にバーに出向き、その客の中で怪しい動きをする女性が居ないかを探すことから始めました。
なぜこんな事からスタートしたのかというと、実は調査現場となるバーの様子を一度確かめてもらいたいという要望が依頼者からあったからです。
そこで私は調査開始直後、別の調査員と一緒に店に入りお酒を飲むことになりました。
ただ、お酒を飲んでしまっては調査が出来ませんし、もともと私は下戸。カモフラージュのための飲酒は同行した調査員にまかせ、私は対象者の仕事ぶりを見ていました。
しかし、これといって怪しい点はありません。
確かに店内に単独の女性客は何名かいましたが、彼女たちへの対応にも妙な所は見られませんし、お酒に飲まれて無理をする様なこともありませんでした。
「これはもしかしたら白なのか?」
店を出たあと、同行した調査員とそんな会話を交わしたのですが、多少酔っていたその調査員は「いや、あれは黒だね」と自信満々に言います。
なにを酔っているのかと思いますが、これも仕事、お酒が抜けるまで運転をさせられないので、徒歩尾行要員になった彼を後部座席に乗せ、それから店が閉まるまでの間その場で張り込みを続けました。
そして夜の12時を過ぎたころ、店の中から対象者と一人の女性が姿を現しました。
店の外から出入りの人数を確認していた私が、それが最後の客であると判断。すぐさまカメラで確認すると、その女性はだいぶ酔っているのか、対象者の肩につかまりながらフラフラと立っていました。
そんな女性を介抱しながら、対象者は店のシャッターを閉め閉店。
そのまま女性を抱える様にして、タクシー乗り場に向かって歩いていきます。
おそらく、店で酔ってしまった女性をタクシーに乗せるのかな・・・と思いきや、女性をタクシーに乗せることなくタクシー乗り場を通り過ぎると、二人はそのまま道を歩いてホテル街の方へと歩いていくではありませんか。
さらに歩きながら、二人は何度も熱い抱擁とキス。相当酔っているんでしょうが、バーのマスターがそれほど酔っている様子ではない点を見ると、これは明らかに浮気です。
結局、二人はそのままホテルの中へ。
そのまま張り込みを続けた結果、対象者達がそこから出てきたのは2時間後でした。
調査結果
ホテルから出てきた対象者と別れた女性を尾行した結果、その女性は付近にすむ主婦であることが判明しました。
その後2度この男性に対する調査を行いましたが、ほかの調査では不貞行為の様子は認められませんでした。
もしかしたら、この女性とは一度きりの過ちだったかもしれませんが、女性との親密さや慣れ親しんだ様子からも、その浮気が初めてではないのは明らかです。
ただ、そうした調査員の主観を報告書に記すことは許されません。事実のみを記すのが調査員の仕事ですから。
しかし、報告書を手渡した依頼者は浮気にショックを受けていたものの「やっぱりね」といった具合に、なぜか安堵しているような仕草すら見せました。
きっと、浮気についてモヤモヤとした疑いを持ち続ける事が余程苦しかったのでしょう。
おそらくその後、旦那さんは厳しく叱られたでしょうが、やはりその後の依頼者からの報告によれば離婚はしていません。
対象者のお店はすでにありませんが、その後も結婚生活が続いているのか気になります。
たとえ浮気問題がおきたとしても、その後夫婦が関係を修復できるのが一番良いですね。それも水商売という男女のイザコザが多い仕事をしている二人だからこそ理解しあえたのかもしれません。
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