探偵が行う調査にはマニュアルも存在しなければ、ルーティンワークの予定調和すら存在しませんし、タスク管理やコンプライアンス管理程度で現場に安定と安全がもたらされる事も残念ながら当分おとずれません。
しかし、だからこそ面白い所も多い仕事です。
探偵に一度なった私から言わせれば、あそこはまるで非現実的で冗談じみた世界であり、さながらフィクションの中の様な出来事すら平気でおきてしまう、実にスリリングな日々の連続なのです。
相談者
今回ご紹介する案件の依頼者は、大阪府に住む女性(20代:アパレル業)
しかし、どうしても浮気が心配な依頼者は、探偵社に相談したのですが、面談を行ってよくよく話を聞いてみると、どうやら心配なのは浮気だけでは無かったようなのです。
相談内容
依頼者が不審に思った彼の行動は以下の通りとなっていますが、その中に浮気よりもさらに深刻な事態を予感させるものも含まれていました。
・携帯電話の中身
彼の携帯電話の中身を確認したところ、大量の女性との履歴が発見されました。
しかし、そのメッセージの中身は少し妙で、浮気のメールとしては少し首を傾げたくなる部分がいくつかありました。
彼氏『今日会える?』
女性『OK!どこで?』
彼氏『いつものアパート』
女性『わかったわー』
このメッセージにあった『いつものマンション』という表現ですが、普通浮気相手と会うためにわざわざ密会用のアパートを借りるなどと手の込んだ行いをする人は少ないです。
さらに、このメッセージは全ての女性に対して送られていました。
多すぎる浮気相手
スマートフォンを覗いた時に依頼者が発見した女性の数はおよそ20人以上。
ここまで多くの相手と同時に浮気をしていたら相当なものですが、一度に20人以上の人間と浮気をするメリットはあまりに少ないですし、むしろ浮気の発覚率が上がるだけです。
依頼内容
今回の依頼では調査開始場所を対象者と依頼者が同居するアパートに設定しました。
投入する調査員の数は2名程。対象者は車で移動するため、車両2台にバイク1台での尾行することとなったのです。
調査開始
調査が開始されてしばらくすると、張り込みをしている私達の前で対象者が姿を現しました。
対象者はそのまま車に乗り込んだ後、そのまま付近の駅に向かって走行し、車両尾行が開始しました。
対象者が駅に到着すると、そこにいた一人の女性を車に乗せて再び走行。こんどは市街地の方向へ向かって走り出します。
ずいぶんすんなりと浮気相手と接触したなと、調査員達に少しだけ気の緩みが生まれたのもつかの間、対象者の車は急に減速し、あるマンションの前に停車しました。
いったい何をやっているのか…
しばらく対象者の動きを見守っていると、なんとマンションから一人の女性が出てきたと思うと、そのまますぐに対象者の車に乗り込んでしまったのです。
これは一体どういう事なのか?浮気相手が複数人居る人間も珍しくはありませんが、まさか同時に2人以上の浮気相手と接触
…そんなばかな。
急な展開に驚いている調査員をよそに、車はしばらく走行した後、なおも別のアパートに到着。するとまたもや新たな女性がアパートから現れ、対象者の車に乗り込んでしまったのです。
まさか、同時に3人と浮気をするつもりなのかと、調査員達の慌てる声が無線を行き交う中、対象者の車はしばらく郊外の方向へ走ったのち、再び別のアパートの前に到着したのです。
そして、そこで車から全員が降りて建物の中へ。
幸い、建物の出入り口が外から見えるため、車の中からマンションの一室に全員が入っていく様子が見えました。
恐らく、ここが例のアパートなのでしょうが、こんな所で一体何をしようというのか?
そして、不安は見事に的中し、マンションから対象者と初めに車に乗せた女性が出て来ると、車に乗り込んでまた別の場所に向かって走り出しました。
そして、付近のラブホテルに到着。
『あ・・・まさか』と、一人の調査員が声を上げます。
そう、わざわざ別の場所にアパートまで借りて女性達を呼び寄せ、ラブホテルにやって来る。
これはもしかしたらと思っていると、案の定、車からは女性のみが降りホテルに入り、対象者はそのまま車を走らせて先ほどのマンションへと戻っていってしまったのです。
調査結果
この調査の結果、対象者は浮気をしている訳ではありませんでした。
しかし、その日一日調査を行た結果、この男性は無店舗型風俗サービス。
所謂『デリバリーヘルス』を営業している事が判明したのです。
さらに調べを進めると、このデリバリーヘルスは無許可で営業されている事が判明したのです。
この様に、浮気と思って調査を行った結果が、思いもよらぬ対象者の裏の顔を暴きだす事があり、調査の結果というのは誰にも予測が付かないものなのです。
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