実録浮気調査:DV加害者からの依頼を阻止せよ

最近、探偵社には自身の素性を隠しながら調査を依頼し、探偵に犯罪の一旦を担わせようとする人が増えてきています。

特に多いのがストーカー・DVの加害者です。彼らは被害者への接近禁止令が出されている事が多く、相手がどこに住んでいるのか調べる方法が限られているため、自分が加害者であることを隠して調べようとするのです。

さらに、日本の探偵はアメリカの探偵の様に依頼者が前科者でないか司法機関に問い合わせる事が出来る権限を持ち合わせていないため、依頼者に嘘を付かれてもなかなか見抜くことが出来ません。

かといって、探偵業界もただこの現状を傍観している訳ではありません。

犯罪の一旦を担わされるリスクを下げ、健全な業務の運営を図るために、常に依頼者の真意をくみ取りながら、場合によっては警察に通報するなどの緊急措置をとるようにしています。

ご相談者

今回ご紹介するご相談者は、東北地方にお住まいのOさん(30代男性・会社員)

Oさんは奥さんと現在別居状態にありましたが、奥さんが別居先を教えてくれない為、新たな住所地を教えて欲しいと探偵社に依頼されました。

ただ、依頼者の言動には以下の様な不振点があり、私達は実際に調査を行うかで悩むこととなりました。

  • 別居した奥さんが電話番号を変えている。
  • 別居しているものの、勤務先については不明。
  • 親権は相手が持っているが、相談者は養育費の支払いを命ぜられていない

この様な状況となると、なかなか相手の住所を特定することが出来ないので、通常ならば、依頼者が対象者となんとか接触を図り、そのご尾行を行って住所を判明させるなどの手法が取られます。

しかし、なぜか依頼者は「対象者とは接触ができない」といって、探偵社側の提案を拒否、この条件でなんとか依頼をしたいと言い続けました。

 

依頼内容

この依頼を受けた際、依頼者は「なんとか元妻と関係をやりなおしたいので、連絡方法を知りたい」と訴え続けていましたが、一切連絡が取れなくなった理由がわかりません。

そのため、対象者の周辺人物に対して聞き取り調査を行う事条件にこの以来を受け、もしもDVやストーカー被害の実態が明らかになった場合には、費用分の支払いはしてもらうものの、調査は中止させてもらうことを提案しました。

すると、依頼者は急に挙動が不審になりはじめます。担当した相談員の話によると、急にそわそわと落ち着きの無い素振りをみせたかと思うと、「なんでそんな条件を付けるのか」「私と妻との関係を割くつもりか」などと声を荒げはじめ、相談員に食って掛かりはじめたそうなのです。

しかし、探偵社の相談員というのは修羅場慣れしているものです。

この様な依頼者にも動じることなく「なぜそこまで怒られるのですか?」「間柄を割くということは、奥さんと貴方の間は誰かに割かれたのですか?」と質問。これに対して、依頼者は次第に落ち着きをみせはじめ、事の次第について淡々と語りはじめたそうです。

 

依頼者の証言

依頼者の話によれば、奥さんがDV被害を訴えて家を出ていったのは半年程前だったそうです。

依頼者としては、時折夫婦喧嘩になった時に奥さんに声を荒げた程度であり、殴ったのは一回きり、しかも頬を平手で叩いただけだと言います。

しかし、そこで相談員は口は挟まなかったものの「DV加害者の言い訳としては有り触れたものですし、自覚が無いのも加害者の特徴ですから」と私に説明しました。

そして、依頼者が出て行ったあと、警察が家にやってきてDV法違反で逮捕。そこで奥さんがシェルターに入った事実を知ったそうです。

そこで奥さんに電話をかけましたが、シェルターに一度でも入れば携帯電話は回収され連絡が付かなくなるので、何度電話をかけてもつながることはありませんでした。

また、本人の代理人を名乗る弁護士により離婚請求が行われ、これを拒否した処、調停離婚に持ち込まれてあえなく離婚が成立してしまったそうです。

ただ、本人は自分の行いをひどく反省している様子がありました。常に依頼者との関係を戻したいと思い続けており、なんとかして元妻と連絡を取ろうと思い、断られるのを承知で妻の両親の元を訪れたり、妻の元職場などにも顔を出したといいます。

しかし、どの場所でも奥さんの新な連絡先を教えてもらう事はできず、困り果てたすえに探偵社に訪れ、なんとか居場所を探してもらおうと思ったそうなのです。

 

相談員の意見

この様な態度は一見すると非常に反省しており、まるで加害者が被害者の様に思えるかもしれません。

しかし、担当した相談員はこの依頼者の話を聞いたあと、即座に依頼を拒否したのです。

相談員がこの依頼を拒否した最大の要因は、加害者が自身を被害者の様にふるまった事と、さらに相手の連絡先を知るために職場にまで出向いていた事実でした。

この兆候は明らかにDV加害者の執拗さを物語っており、表面上は礼儀正しく大人しそうに見えても、心の内には激しい憎悪と愛情あ渦巻いている危険な状態にあると判断したのです。

また、相談員が加害者であるか確認をさせてもらうと言った時に、依頼者が突然怒り出したのも、DV加害者の典型的な兆候です。

この案件を担当した相談員は女性でしたが、DV加害者は男尊女卑の思想が強く、自分の重い通りに行かないとすぐに感情的になり、相手を攻撃しだすという人格障害が特徴です。

それゆえに、依頼が重い通りに行かないだけで怒り出した時点で、相談員はすでに相手がDV加害者であると見抜いており、質問もそのためのカマかけであったそうです。

 

まとめ

この案件を担当した相談員はベテランであり、DV関連に関する知識も経験も豊富であったため未然に被害を防ぐ事が可能でした。

しかし、すべての相談員が相手をDV加害者かどうか見抜くだけの目をもっている訳でもありませんし、相手の隠ぺい工作が此方の上を行けば、いくらベテランといえども、加害者かどうか見抜く事は出来ません。

また、悪質な探偵社ともなると、DV加害者であると分かっていながら、見て見ぬふりをしながら調査を行う事もあるでしょう。

探偵社選びは調査の技術力だけでなく、業界の健全化のために努力を行っているかを見極めるのも重要なポイントなのです。